ヘンプと大麻の違いって何?それぞれの特徴と日本における規制対象
ヘンプも大麻も同じ種類の植物ですが、それぞれに特徴があります。
こちらのページでは、ヘンプと大麻の違いから、日本での規制対象としての扱いまで、詳しくわかりやすくご紹介します。
目次
ヘンプと大麻草の違い
ヘンプと大麻草はどちらもアサ科に属する同種の植物。
同じ麻であり、その区別にも国によって違うなど曖昧な部分も多々ありますが、例えばアメリカでは、大麻草と産業用ヘンプと明確に区別しています。
大きな違いとしては
- 医療用や嗜好用として栽培されてきたのが大麻草
- 主に繊維、油や種子を利用する目的で栽培されてきたのが産業用ヘンプ
です。
それぞれの利用用途に合わせて、より効率的に活用できるよう品種改良もされてきたという歴史があります。
まず大麻草ですが、樹脂が多く、非常に多くの植物化合物を含みます。対して繊維や油などを採取する産業用ヘンプは、大麻草より樹脂が少なめ。大麻特有の精神陶酔作用をもたらすTHCという成分は、産業ヘンプにはほとんど含まれていません。
では、ヘンプと大麻草、それぞれの特徴をさらに詳しく見てみましょう。
ヘンプの特徴
ヘンプというのは、樹脂が少なく、大麻草より植物化合物の含有量が少ないのですが、成分割合としてはCBDの割合が大きく、THCの成分が少ないのが最大の特徴です。
そもそもの栽培の目的が、繊維や種子、油を採取することであり、繊維を多く採取することを目的に改良されており、丈が細長く、花が小さいのもヘンプの特徴とされています。
アメリカでは産業用ヘンプの栽培・製造が合法
アメリカでは、1937年に制定されたマリファナ課税法の影響により、長いらく麻全般の栽培ができない状態が続いていました。ですが、2019年、80年ぶりに産業用ヘンプの栽培・製造が合法化され、それまで海外からの輸入に頼っていたCBD原料もCBD製品も、自国で生産ができるようになったのです。
この産業用ヘンプ栽培と製造の合法化により、アメリカのヘンプ産業界が活性化、新たな雇用を生み出し、市場拡大で経済効果も得られるなど、多くの利益をもたらすことに繋がっています。
また、政府がヘンプ生産の管理を行いつつ、並行して研究も進められており、合法化が様々なメリットを生み出しているのです。
ただし、ヘンプはCBDの含有割合が多いのですが、そもそも樹脂が少なく、含まれる成分もトータルで大麻草より少ないため、その抽出効率が良いとは言えません。その点はデメリットと言えるかもしれません。
ヘンプは驚くほど万能な植物
ヘンプはカンナビノイドなどの成分が大麻草より少ないですが、それでも用途も非常に幅広く、衣類などはもちろん、プラスティックや燃料、建物の断熱材など、様々に活用できる万能な植物なのです。
大麻草の特徴
大麻草の特徴は樹脂が多く、精神作用のあるTHC(テトラヒドロカンナビノール)が多く含まれていること。複数に枝分かれして花も葉も多く、丈はヘンプより低めです。
一般にマリファナと言われるのも大麻草を指しています。
大麻草の樹脂とトリコーム
大麻草というのは全体がベトベトしたとても細かい毛で覆われています。この細かい毛のようなものは全てが生きた細胞で、これが樹脂を生み出しているのです。
この樹脂は本来は大麻草自体の身を守るためのもの。この毛のような生きた細胞をトリコームと言い、ここで生成される樹脂に話題にされるような様々な成分が多く含まれているのです。
例えば、THCやCBD、その他のカンナビノイドや植物化合物などですね。
ヘンプにもトリコームはありますが大麻草より少なめ。そのため、カンナビノイドやその他の植物化合物の含有量も少ないのです。
医療用や嗜好用として改良されてきた大麻草
大麻草は、ヘンプとはその遺伝子や歴史も全く異なります。大麻草は主に医療や宗教儀式などに用いるために、カンナビノイドを多く含む樹脂部分を増やすように改良されてきたという歴史があります。
精神陶酔作用をもたらす、日本で違法であるTHC成分も多く含んでしまいますが、その他CBDなどのカンナビノイドやテルペン、それ以外のフラボノイドやフェノール化合物なども多く、それらの相乗効果(アントラージュ効果)も発生するとも言われています。
■アントラージュ効果って?期待するならCBD製品はこれを選べ!■
現在はCBDが注目されており、THCを少なく、CBDを多く含むような品種改良も行われています。研究を重ねることでそういった改良もできるわけですね。
日本ではヘンプも大麻も同じ扱い
日本では現状、産業用ヘンプも大麻も区別なく、大麻取締法によって厳しく制限されています。
日本で自生している麻はTHC含有量が非常に少ないものですが、マリファナと呼ばれる含有量の多い大麻草と同じようなイメージが広まっています。ただ「恐ろしいもの」、「精神を撹乱するもの」といったイメージだけを先行させてしまっているのはとても残念ですね。
大麻取締法で区別されているのは、「大麻草の成熟した茎や種から抽出した製品」だけは規制対象にならずOKということ。
ただし、大麻草の成熟した茎や種ではない、花や葉など樹脂の多い部分から採取したものは、CBDであっても違法となり、日本で正当に入手することはできません。
大麻に対する恐ればかりではなく、日本の麻文化を大切に守りつつ、最大限生かしていける方法を見つけることができれば、経済効果を得られる可能性も高まるはず。
そもそも大麻取締法は日本の麻産業を守るために制定されたものです。
大麻とは何か、ヘンプとは何か、麻やCBDに関する歴史はもちろん、現在の麻やCBDの研究なども含めて、正しく知識をつけていきましょう。
この記事を監修した人
CBD JAPAN 編集部
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