「国内CBD市場は今後どう発展するか」日本CBD協会の代表川満隆夫氏にインタビュー(前半)
国内のCBD市場は、今後どのように発展していくのでしょうか。
今回CBD JAPAN編集部は、日本CBD協会の代表として知られる川満隆夫氏にお時間をいただき、国内におけるこれまでのCBD市場の動きや今後の展開、そして現在認識している課題について、お話を伺いました。
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「今後の国内CBD市場でのビジネスチャンスと注意点は?」日本CBD協会の代表川満隆夫氏にインタビュー
目次
株式会社CBD協会 代表
2014年、日本でいち早くCBD事業を立ち上げる。蓄積した幅広い知識を用いてCBD業界に携わる企業のサポートを行う。その他、国内外300社の経営コンサルティングにも携わる。
Q1.日本におけるこれまでのCBD市場の動きとは?
「日本CBD協会がスタートした2014年当時、国内においてCBDは全く知られていませんでした。
その後、アメリカの方でCBDのマーケットが急成長をしているという情報が、日本にもたらされるようになります。
すると、今まで健康食品などに携わっていなかった人たち、主に個人事業主クラスの方々が『CBDは儲かる』と参入してくるようになったのです。
これはCBDが世間に知られるいい兆候だと、我々は好意的に捉えていました」
Q1-1.課題やポジティブな要素はありますか?
「課題は、正しいCBDの情報が、消費者に伝わっていないという点です。
新規参入した方々がCBDをにわかに勉強したせいか、間違った情報が広まってしまったのです。
また、金儲けのためか『認証マーク』を売るような業者も出てきており、我々も懸念しています。
この状況は、まだまだ改善されていないどころか、逆にひどくなる一方です。
一方で、明るい材料もあります。
最近になって、上場企業の参入が見られるようになってきたのです。
我々にも相談が寄せられており、彼らとは情報交換をしています。
大手が入ってくると、世間的に見てCBDに対する信頼性が高まると期待しています。」
Q1-2.大手が入ってきたきっかけは?
「2017年、WHO(世界保健機構)は『CBDは人体に有効である』という、科学的根拠のあるレポートを発表しました。
最近では、超党派の国会議員が『CBDの活用を考える会』を発足させるなど、国内においても動きが出てきています。
つまり、上場企業が安心して参入できる基盤が整いつつあるのです。
上場企業は、万が一の事態によって、企業イメージが傷つくことを恐れています。彼らは株式を公開していますので、不測の事態で株価が暴落すると、その責任を負わなくてはなりません。
そのため、彼らがCBD市場に参入するには『安全の担保』が必要でしたが、それがやっと守られるようになってきたのです。」
Q2.現状、日本のCBD業界はどうなっていますか?
「日本の市場のご説明をするためには、アメリカの市場と合わせてお話しする必要があります。
アメリカでは近年、大麻関連ビジネスが『グリーンラッシュ』と呼ばれ、やれば儲かるということで、相当な勢いでマーケットが拡大しました。
しかし、市場に参入する企業は玉石混交で、コンプライアンスのない企業も相当数、入ってきていたのです。
FDA(アメリカ食品医薬品局)が調べたところ、正しい表示をしているCBD製品は、全体の30%しかなく、残りの70%は違法表示でした。また、20%の製品には、違法成分であるTHC(テトラヒドロカンナビノール)が混入しているという有様です。
最近は、法令遵守している企業を世間が評価しつつありますので、コンプライアンスなき企業は、市場から締め出されるようになりました。するとアメリカでは、大量に出回っている重金属やTHCが混入した粗悪な原材料が売れなくなり、ダブつき始めます。
そして、余った原料の一部が、イメージがいいスイスに事務所を設けた上でアメリカから在庫を移し、スイス産として日本に輸入されているという情報が、我々の耳にも入ってきました。
現在、そういった経緯でつくられた粗悪品が、日本国内で流通しています。しかし来年くらいには、きちんとした事前の分析などによって、だんだん締め出されるようになるのでは、と推測しています。」
Q2-1.今どんなことが1番ポジティブですか?
「日本においても、初期のアメリカ市場と同様、玉石混交でさまざまな企業がいる状況です。
しかし近年は、麻薬取締局による検査や、税関のチェックが厳格になってきています。
特に税関当局では、多数の分析機械を導入して、かなりの頻度で抜き取り検査をしていますので、今後は正常化してくるのでは、と我々は見ています。アメリカがたどった流れが、徐々に日本にも来ていると言えるでしょう。」
Q2-2.逆に課題だなと思うことはなんですか?
「課題はやはり、正しい情報の発信です。
現在、いろんなCBDのHPを見て回りますと、一部のサイトで間違った情報が散見されます。
最終的に守られなければならないのは、消費者です。
我々は『CBDは薬ではなく、栄養学である』という観点から、事業を進めています。消費者が良かったと思えるような商品をつくるのも大事ですが、正しい情報も発信していかなくてはなりません。」
Q2-3.その課題に対しての対応策を教えてください。
「正しい情報を発信すべく、我々は薬学部大学の教授やドクターと一緒になって、学会の立ち上げを準備しています。
そして、どういった基準で商品を選べばいいのかという、いわば『物差し』を示していくことで、消費者の安全安心を守っていきたいと考えています。
また、日本のCBD市場が伸びるには、正しい情報の発信とともに、消費者教育も必要です。消費者教育についても、コマーシャルベースではなく、科学的視点から行うべきでしょう。」
まとめ
以上、国内におけるこれまでのCBD市場の動きや今後の展開、そして現在認識している課題について、日本CBD協会代表の川満隆夫氏よりお話を伺いました。
玉石混交な企業が参入している国内のCBD市場ですが、アメリカと同様、徐々に正常化された上で、さらなる拡大が期待されます。
一方で、国内市場では「正しい情報の発信」という、重要な課題があることが分かりました。
では今後、CBDの国内マーケットではどのような動きがあり、そこにはどんなビジネスチャンスがあるのでしょうか?
次回の記事ではこの点について、さらに詳しく迫っていきます。
この記事を監修した人
CBD JAPAN 編集部
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