日本の医療大麻についての方針とは?現状や世界各国の方針についても徹底解説
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2024年2月25日

日本の医療大麻についての方針とは?現状や世界各国の方針についても徹底解説

2023年6月に医療大麻の活用環境の整備強化が内閣府により決定されました。既存の「大麻取締法」は1948年の施行のため、実に75年ぶりの改正に向けた動きでした。

今回は医療大麻に関して、これからの日本の方針と現状について解説してまいります。合わせて、世界の医療大麻に関する方針についてもまとめました。ぜひご参考にしてみてください。

23年12月、大麻取締法改正。

今回の記事は医療大麻にフォーカスしています。
23年12月に改正された、「大麻取締法」の詳細についてはこちらの記事をご覧ください。

■大麻取締法の改正法案が可決。75年振りの大幅な内容改正。【2023年12月】

医療大麻の活用環境の整備強化が内閣府より閣議決定

2023年6月に医療大麻の活用環境の整備強化が内閣府にて閣議決定されました。持続可能な社会保障構築に向け、医療大麻について触れられています。以下が、経済財政運営と改革の基本方針で医療大麻について記載されていた部分です。

 

『医療保険財政の中で、こうしたイノベーションを推進するため、長期収載品等の自己負担の在り方の見直し、検討を進める。大麻に関する制度を見直し、大麻由来医薬品の利用等に向けた必要 な環境整備を行うほか、OTC医薬品・OTC検査薬の拡大に向けた検討等によるセルフメディケーションの推進、バイオシミラーの使用促進等、医療上の必要性を踏まえた後発医薬品を始めとする医薬品の安定供給確保、後発医薬品の産業構造の見直し、プログラム医療機器の実用化促進に向けた承認審査体制の強化を図る。』

引用:厚生労働省「経済財政運営と改革の基本方針2023」https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001114701.pdf

 

2021年7月に、内閣府では、医療大麻の活用環境の整備強化に向けた改正案を閣議決定しています。

この改正案では、医療用大麻の品質・安全性の確保、製造・販売のためのライセンス制度の整備など、医療機関に対する情報提供や研修の充実を図ることが目的です。ここから、医療大麻の使用に関する規制緩和について、検討が進められています。

2022年9月29日には、厚生労働省で大麻規制検討小委員会が開かれ、医療用大麻の解禁や大麻取締法の改正などが話し合われています。

そのような流れを受けて「世界的には使用国が多いのだから医療用を認めないのは遅すぎる」「大麻そのものは有害ではない」などさまざまな声があがっています。

医療大麻の整備強化に向けた改正案の背景

この改正案の背景には、医療大麻が難病の治療や緩和ケアに有効であるとされているためです。日本では、大麻草から製造された医薬品の使用はこれまで禁止されてきました。

しかしながら、医療大麻を必要としている患者が一定数いるのが実情です。そのため、大麻草から製造した治療薬を使用できる改正案が検討されてきています。

医療大麻の品質や、安全性の確保、ライセンス制度の整備が進められることによって、医療大麻が必要な患者に、適切な医療を提供できる環境を整備することが期待されます。

医療大麻の現状について

日本では、大麻取締法によって大麻の所持や使用、栽培、販売は違法とされています。現在の日本では、医療大麻の使用は非常に厳しく制限されているのが実情です。医療大麻を処方するには、医師が研究と実践を積んでいる必要があります。

厚労省では、厚労大臣の許可を受けて輸入し、治験の対象とされる薬物として国内の患者に用いることは可能としています。現状では、限られた場面でしか使用できず、医療用大麻の品質と安全性に関する基準が定められていません。

しかしながら、改正案が閣議決定されたことにより、今後日本でも医療大麻の活用が進められることが期待されています。

医療大麻とは

医療大麻とは、医療的な目的で使用される大麻のことを指します。医療大麻は、大麻から抽出されるカンナビノイドを医療的な目的で使用します。痛みや吐き気の緩和など、症状に合わせて処方されるのです。

日本では大麻取締法によって、大麻の所持や使用、栽培、販売は違法とされています。しかしながら、医療大麻にはさまざまな疾患に医学的効果があるとされているため、海外諸国では医療大麻の合法化の動きが進んでいます。

世界各国の医療大麻使用の方針

日本では、医療大麻は厳しく制限されていますが、国際的にはどのような方針になっているのか気になるところです。ここからは、世界における医療大麻使用の方針について解説していきます。

オランダ

オランダは世界で最初に医療大麻を合法化した国のひとつです。ただし、大麻に関する規制は厳しく、医療用大麻事務局によって、大麻は厳重に規制されています。

そのため、オランダで医療大麻の製造許可を与えられている会社は少ないのが現状です。医療大麻の栽培は合法ではありませんが、非犯罪化されています。そのため、オランダでは最大5本まで栽培することができます。

ドイツ

ドイツでは2017年に医療大麻が合法化されました。医師によって慢性疼痛や吐き気などの症状を緩和するために使用することができます。

ただし、オランダ同様、医療大麻に関しては厳格な規制があります。処方される医療大麻は、医療機関で生産された品質の高いものに限ります。州の監視のもとで、大麻の栽培も可能になっています。

シンガポール

シンガポールでは厳しく大麻が制限されていて、医療大麻の使用も違法です。合法化に向けて進捗はなく、これからも厳しく制限されていく見込みです。

シンガポールでは大麻の栽培を許可された企業もありません。医療用であっても同様です。もし、大麻に関して有罪判決を受けた場合、最高で20年の禁固刑か4万ドルの罰金もしくは両方という厳しい刑が課される恐れがあります。

カナダ

カナダでは医療大麻の使用は合法です。加えて2018年には、娯楽目的での大麻使用の合法化にも踏み切りました。

これは、ウルグアイについで世界で2番目となります。この目的として、未成年者による大麻の利用を防止することが挙げられます。大麻を政府の管理下に置くことで、年齢確認を行い未成年者の利用を防止する狙いがあります。

アメリカ

現在、アメリカの36の州で医療大麻が合法化されています。医療用大麻は、医師の処方によって、使用することが可能です。

ただし、医療大麻に関しても、州によっては、厳しい規制がある場合があります。医療大麻を使用するためには、医師の診断や処方箋が必要であることが一般的で、使用には、特定の条件を満たすことが必要です。

アメリカでは連邦法と州法があり、連邦法ではいかなる用途であっても、大麻の使用は禁止しています。ただし、連邦政府は大麻の規制権限を州にゆだねるとしているので、大麻の使用や栽培に関しては、州の法律が適応されます。

まとめ

今回は日本の医療大麻の方針についてまとめてまいりました。医療大麻は、娯楽用の大麻とは違い、さまざまな症状の緩和を目的としていて、必要としている方が多くいます。

一方で、日本では、医療大麻の情報共有や研修が不十分な部分が多々あり、医療大麻の使用が厳しく制限されているのが実情です。今回の内閣府の改正案によって今後日本でも医療大麻を活用できる環境が整備されることが期待できます。今後の、日本での医療大麻に関する報道に注目していきましょう。

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