WHOの大麻・CBDへの見解|医薬的価値の見直しのきっかけになるか
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2021年8月23日

WHOの大麻・CBDへの見解|医薬的価値の見直しのきっかけになるか

2020年12月2日に行われた国連麻薬委員会の会合で、WHOによる大麻に関する1つの勧告が可決されました。

これにより、条約における大麻の位置づけが

「最も危険で医療用途がない物質」の分類から
「医学的な有用性は認められるが依存性が強く取り扱いに注意が必要な薬物」の分類に

変更されることが決定したのです。

こちらのページでは、このWHOの勧告内容や見解、そして大麻にまつわる現状についてわかりやすくご紹介します。

WHOの大麻についての見解とは

WHOの大麻についての見解

2020年12月に国連麻薬委員会会合で可決された「WHOによる勧告」の内容について、難しいことは極力省いてざっくり見てみましょう。

  • 大麻はスケジュールⅣの他の薬物基準と一致しない
  • 大麻製剤には疼痛やてんかんなどへの治療可能性がある
  • 医療大麻の関連製剤の入手や研究開発の障害とならないようにするべき
  • ただし、公衆衛生上の問題発生が世界中で見られることからスケジュールⅠに含めるべき

といった見解であることが伺えます。スケジュールⅣというのは、「最も危険で医療用途がない物質」という分類のこと。

この大麻に関するWHOの見解をごく簡単にまとめると、

「これまでの条約では大麻が医療上有用性のない危険薬物として分類されているが、治療可能性も広がっておりその分類には該当しないのではないか」

といった内容になります。

ちなみに、日本はこの勧告内容に対して反対票を投じました。

反対する理由として

大麻の規制が緩和されたとの誤解を招き、大麻の乱用を助長するおそれがあるため

と表現しています。

結果、投票権を持つ53カ国のうち、賛成したのは27カ国、反対したのは日本を含む25カ国、棄権1で可決されたのです。

WHOの勧告承認で大麻はどう変わる?

WHOの勧告承認で変わる大麻の位置づけ

2020年12月2日、このWHOの勧告を国連が受け入れ、大麻は最も危険とされるスケジュールⅣからスケジュールⅠに分類が変わることとなりました。これは大麻の波乱に満ちたこれまでの長い歴史の中でも、非常に大きな変革ポイントとなります。

スケジュールⅠというのは、「医学的な有用性は認められるが依存性が強く取り扱いに注意が必要な薬物」ということです。

医療大麻は日本では禁止となっていますが、海外の医療大麻が解禁されている国では

  • てんかんの発作
  • ガン治療による痛み
  • 終末期の苦しみ

等の緩和やその他の疾病の治療などにも活用されています。

今回の大麻に関するスケジュール変更は、そうした実績や研究成果などを元に、大麻がもっと正しい知識で医療分野で活用されるようになる、その大きなきっかけとなることでしょう。

WHOの勧告を受けて変更された大麻の危険度

WHOの見解・勧告を受けて変更された大麻のスケジュール

ただし、大麻の分類が変わったからといって、大麻が即解禁となるような状況になったわけではありません。

スケジュールⅣからⅠとなると、非常に規制が緩くなったという印象を持たれるかもしれませんが、このスケジューリングを厳しい順に並べると、

スケジュールⅣ>スケジュールⅠ>スケジュールⅡ>スケジュールⅢ

となり、スケジュールⅣの次に厳しいのがスケジュールⅠなのです。

現在スケジュールⅣに指定されている薬物はヘロインやオピオイド等で、スケジュールⅠにはコカインやモルヒネ等が指定されています。大麻はスケジュール変更となっても、「乱用のおそれがあり、悪影響を及ぼす物質」としての扱いとなっています。

ちなみに薬物規制の国際条約としては、

  • 麻薬に関する単一条約
  • 向精神薬に関する条約
  • 麻薬新条約(麻薬及び向精神薬の不正取引防止に関する国際連合条約)

の3つの条約があり、これらが国際的な薬物の基本ルールとなっています。

今回の変更は、麻薬に関する単一条約のスケジュールについての内容になります。

日本では大麻取締法に縛られたまま

WHOの大麻についての見解とは裏腹に変わらず厳しい日本の法律

日本では、スケジュールⅠに指定されているコカインやモルヒネがすでに医療現場で使用されています。ですが現在のところ大麻については大麻取締法という法律の規制もあり、日本の医療で使用することは不可能。

深刻で解決法の無い疾病などの治療や緩和に大麻を使いたいお医者さん、患者さんがいても、法律によって規制されており使用することができないのです。

大麻の規制部位から抽出したCBDは医薬品でも使えない

例えば、「Epidiolex(エピディオレックス)」というアメリカで承認されているCBDを使用した医薬品があるのですが、これは大麻取締法で規制対象とされている部位から抽出した大麻草のCBD成分を使用したもので、日本では例え医療目的でも使用ができません。

つまり、日本で合法なCBDと同じ成分であっても、CBDが抽出される原料の部位が違うことを理由に所持・使用することが違法になってしまう、ということになります。

ただし、これは大麻取締法が制定された1948年当時から約70年間変わっていない法律であるため、大麻に関する様々な研究が進む中で、法改正も少しずつ検討されているとのことです。

実際に、2021年6月に行われた厚生労働省の有識者検討会では、現行の大麻取締法に使用罪の創設や、大麻草を原料にした医薬品について使用を認めることも盛り込み、2022年の法改正に向けて動く、という報告書がまとめられています。

大麻の医薬的価値が日本でも見直されるきっかけになるのか

WHOの大麻についての見解と日本への影響

大麻取締法は、1948年(昭和23年)に制定された法律。WHOの見解・勧告によって大麻の扱いが変わったのとは裏腹に、日本では大麻取締法に使用罪を創設しようという動きがあります。

一方で、現在規制されている医薬品については国内での使用や製造、販売も含め認める方針もあるようです。

現在、大麻事情は世界中で非常に目まぐるしく変化しています。まさに変革の時であり、日本ではこの先どのように対処していくのか興味深いところですね。

この記事を監修した人

CBD JAPAN 編集部

CBD JAPANは2021年10月に設立された企業で、「心身の本来の力を引き出し、健康で明るい社会を作る」というミッションを掲げています。コラムは全て下記の監修者のもとで、コンテンツ制作ポリシーに従い制作しております。

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