マルタ共和国が大麻を合法化へ、ヨーロッパでは初
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2021年12月28日

マルタ共和国が大麻を合法化へ、ヨーロッパでは初

マルタ共和国議会が「大麻合法化法案」を賛成36票・反対27票で可決し、それから数日後ジョージ・ヴェラ大統領がこの法案に署名。マルタはヨーロッパ初の「大麻使用・栽培等が条件つきで合法の国」となった。

オランダ、ポルトガル、スペインなどでは大麻所持・使用が事実上「容認」されている側面もある。これを踏まえ、イギリスの某擁護団体のアナリストであるスティーブ氏は「ヨーロッパ諸国においてグレーゾーンとされていたものを、マルタは明確に法制化した」と述べた。

法案には「18歳以上であれば7グラムまで大麻を所持でき、個人使用目的で4株まで栽培可能」というルールが記載されている。なお、自家栽培の大麻であれば50グラムまで自宅で保管することもできる。

18歳以上で7~28グラムの大麻を所持すると、罰金(50~100ユーロ)が課せられるが、前科はつかず懲役もない。18歳未満で大麻を所持していると、司法委員会に送致された上で独自の「ケアプラン」を作り、実践することとなる(逮捕はされない)。また、大麻所持の前科者は、その前科の抹消申請をすることが可能(アメリカのニューヨーク州等で成立した条項と同様)である。

商業的な市場自体はないが、法的に認可された非営利の協同組合(大麻クラブ)は、大麻を栽培し、会員に配布することが許されるようになる。配布可能な量は会員1人つき1か月あたり50グラムまでで、1日7グラムまで。また、大麻の種を1か月あたり20粒まで配ることが可能。

しかし、この法案への反対派もいる。
マルタのカトリック系慈善団体『カリタス』の広報担当者であるマリカ氏は、「社会的問題をもたらす精神障害物質である大麻を大衆化し、正常化してしまうことになる」と指摘した。マリカ氏は、カリタスに駆け込む薬物中毒者のうち約4分の1が大麻中毒者であると述べ、今後さらにその数が増えるだろうと述べた。

さて、法案を提出したボニチ議員はプレリリースにて「この強固な法的ルールの発効は、社会正義と社会全体にとって最大の利益となる変化を発生させるという政府の意志に沿ったものである」と語った。
電話インタビューでは「同法案によりマリファナの犯罪的な売買を抑制することができる」とも述べている。
そしてマルタ政府は「薬物使用を奨励するものではなく、薬物の使用を選択した人々を保護するための新法である」としている。同政府は「大麻の責任ある使用に関する機関」も設立した。

また、ヴェラ大統領は、野党が法案を阻止するべく動いていることに対し「重大な道徳的問題がない限り、大統領とはいえ正常な過程を踏んで可決された法律を無視する権限を有さない」と述べた。

では、マルタ以外の動きはどうか。
ドイツの新連立政権の各党首は先月末「政権獲得後に大麻を合法化し、薬物政策における問題点の軽減を推進すること」について正式に合意したと発表した。
隣国のルクセンブルクでは10月に合法化案が発表されており、実際に2022年初頭には合法化すると見られている。ルクセンブルクは現状、個人使用の合法化に焦点を当てている。
また、イタリアでは今春、大麻やシロシビンタケの家庭栽培と個人所持の合法化に関する国民投票が実施される見込みである。

さらにアメリカでは複数の合法化法案がすでに議会を通過している。
メキシコでは大麻販売を規制付きで合法化する法案の草案がトップ議員の間で閲覧されており、近々採決が行われる予定である。
ちなみに、すでに娯楽用大麻を合法化している国としてはウルグアイやカナダなどがある。

なお2020年12月、国連は「最大レベルの危険性がある薬物のリスト」から大麻を削除している。

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