【子供のてんかん】小児てんかんの症状や日常生活での注意点、発作時の対応法まで徹底解説
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2024年10月8日

【子供のてんかん】小児てんかんの症状や日常生活での注意点、発作時の対応法まで徹底解説

意識を失い、けいれんを起こすイメージが強いてんかんですが、症状は決してそれだけではありません。特に子供のてんかんは、さまざまなパターンがあることが知られています。

子供と過ごすなかで「てんかんかも?」と気づけるケースもあれば、長期間気づかれないケースも存在します。本記事では、子供のてんかんについて、主な症状や原因、生活上の注意点、発作時の対応法などを幅広く解説。お子さんの気になる症状を見逃さないよう、あらかじめ理解を深めておきましょう。

てんかんとは


てんかんとは、脳の神経細胞で異常な電気活動が起きることにより「てんかん発作」を繰り返す脳の疾患です。発作のパターンにはさまざまなものがあり、けいれんを起こして倒れるというケース以外にも、症状が多岐にわたります。

手足の一部だけがけいれんしたり、手足がしびれたり、言葉が出にくくなるという症状もてんかん発作である可能性があります。てんかんの有病率は1000人に5〜8人や100人に1人などといわれており、決して少なくはありません。

生まれたばかりの新生児から高齢者まで、幅広い年代で発症する病気であり、そういう意味では、身近な病気といえるでしょう。(※1)

子供のてんかん「小児てんかん」

てんかんのなかでも、18歳以下の子供のてんかんは「小児てんかん」と呼ばれます。てんかんの発症は子供に多く、日本における発症年齢の分布は0歳が最も多いのが現状です。1歳を超えると発症率が急激に下がり、40歳ごろからまた上がりはじめます。また、性差はみられないとされています。(※2)

小児てんかんの原因はさまざまです。出生時の脳の損傷や先天性異常などの原因がわかるもの(症候性てんかん)と、原因不明のもの(特発性てんかん)があり、子供に関しては、原因がわからないケースが多い傾向にあります。(※3)

また、小児てんかんは、発症時期や症状、経過などによって細かくグループ分けされているのが特徴です。てんかんのタイプごとにさまざまな研究が進められており、どのてんかんなのかを特定することで、治療がスムーズに進みやすいとされています。

小児てんかんの主な症状


子供のてんかんの症状はさまざまです。脳のどの部分で神経細胞が興奮するのかによっても、症状が異なります。発作のタイプはさまざまだということを大前提としたうえで、代表的なものは以下です。

「強直間代発作」では、意識を失い、全身が硬直します。白目をむいたり、口から泡を吹いたりするケースも存在します。てんかんのイメージとして、一般的に抱かれやすい症状です。

「欠伸発作」では、突然意識がなくなります。意識の消失は短時間で、発作から回復すると、意識を失う直前に行っていた動作を再開するのが特徴です。

「ミオクロニー発作」では、突然筋肉が収縮します。筋肉の収縮にはさまざまな原因があるとされていますが、てんかん発作として起きるケースもあるのです。

また、全身けいれんや顔・唇のしびれなどを伴う「良性小児てんかん」も、子供に多いてんかんとして知られています。このてんかんに関しては、一定の年齢に達すると自然に発作が治るのが一般的です。(※4)

発作と気づかれにくい要注意症状

特に小さな子供は自身の症状をうまく伝えることが難しいため、実はてんかん発作であっても、そうでない別の病気と間違われたり、そもそも発作と気づかれなかったりするケースも多いと考えられています。

けいれんや意識消失を伴わなくても、てんかんである可能性があります。以下のような症状が気になる場合は、かかりつけ医や専門医に相談するようにしましょう。(※5)

・突然ぼんやりする
・口をもぐもぐさせる
・声をかけても反応がない
・突然つまづく
・チックのような動作を繰り返す
・突然の怒りを繰り返す

なかには発達障害を併発するケースも

小児てんかんでは、てんかんでない場合と比較して発達障害を併発する割合が高いということが知られています。てんかんのある子供の20%に自閉スペクトラム症(ASD)、30%に注意欠如多動症(ADHD)が伴っているというデータが存在しており、精神障害を合併するケースも少なくありません。(※6)

子供のてんかんは治る?


「子供のてんかんは治る」と言い切ることは難しいですが、快方に向かうケースは少なくありません。

小児てんかんは、問診や脳波の検査を経て診断されます。治療はケースバイケースですが、抗てんかん薬の服用のほか、手術や神経刺激などの外科的治療が検討される場合もあります。(※7)

抗てんかん薬は、長期間毎日飲むことが基本です。医師の指示に従って、薬を適切に飲むことで、発作が起こりにくくなっていきます。一定安定した状態が続き、その後、薬無しで日常生活を送れるケースも少なくありません。

一部のケースを除き、多くの患者さんが薬によって発作をコントロールしているのが現状です。また、繰り返しになりますが、小児良性てんかんの場合は、一定の年齢に達すると、自然と治癒していきます。薬を辞められるケースも少なからず存在するため、根気よく治療を続けることが大切です。(※8)

てんかんを持つ子供の生活上の注意点


てんかんの治療期間は長期にわたるケースが多いですが、発作時以外にも症状があるというわけではありません。そのため、基本的には、家庭や学校で、日常生活を送ることが可能とされています。(※9)

しかし、てんかん発作の約80%は原因がなく起こる一方で、約20%は何らかの要因に誘発されて起こることがわかっています。(※10)以下では、発作をできるだけ避けるために、日常生活で気をつけておきたいポイントをご紹介します。

誘発因子を避ける

まずは、発作の誘発因子を避けることが大切です。てんかん発作は、特定の刺激や事象によって起きやすくなることが知られています。代表的な例は、テレビやゲームなどの光刺激です。刺激が強いタイプのものは避けるのが望ましいでしょう。

また、疲労や睡眠不足、ストレスなどもてんかん発作の起きやすさにつながっています。ほか、緊張や感情の変化もそのひとつ。小さい子供の場合は、発熱や入浴も要因になり得ます。また、女の子の場合は、思春期頃になると、月経も関係するとされています。

これらを完璧に避けることは難しいかもしれませんが、生活習慣の改善やライフスタイルの調整などによって、心がけることが非常に重要です。

規則正しい生活を送る

睡眠不足や疲労は、てんかん発作の誘発因子のひとつです。つまり、早寝・早起きをはじめ、規則正しい生活を送ることで、発作の発生率を下げられる可能性があります。生活リズムを固定し、できるだけそれに則って過ごすことが大切です。

また、環境の変化やイベント期間などは、より注意が注意が必要です。しっかり休養することをいつも以上に心がけるように意識しましょう。

家庭・病院・学校で連携をとる

子供に限らずですが、特に子供は、てんかんに関することをすべて一人でケアすることは不可能です。また、子供のてんかん治療は、親が窓口になります。学校、病院、家庭でしっかりと連携をとり、適切な治療に結びつけることが重要です。

学校行事に関しては、制限をしすぎると、子供の発達の妨げになることも。過度な制限によって、心理的なストレスを増幅する可能性もあるでしょう。発作が命に関わる場合は別ですが、対処法を考えながら、できるだけ通常通りに参加をすることが望ましいと考えられています。

突然けいれんや発作が起きたら?発作時の対応法


てんかん発作は突然はじまるケースが多いため、遭遇するとパニックに陥る方も多いでしょう。しかし、対応者はできるだけ冷静に対応することが大切です。あらかじめ知識を入れておくことで、咄嗟の対応がスムーズになります。

発作は基本的には数分以内に自然に治るとされています。まずは身の回りの安全を確保し、ケガの原因を取り除き、危険な場所から安全な場所へと誘導しましょう。薬や水を含め、発作中に何かを口のなかに入れるのは厳禁です。また、体を押さえつけたり、大声で話しかけたりしたからといって、それにより発作が治るわけではありません。

安全な場所の床に寝かせ、メガネやヘアピンなどをはずし、体の締め付け箇所を緩めます。発作が終わったら、顔を床に寝かせ、万が一の嘔吐に備えます。無理に起きあがらせたりせず、本人が落ち着くまで寝かせたままでしっかりと見守りましょう。

発作が治るまでのひとつの目安は5分です。5分以上経過してもけいれんが治る気配がなかったり、短期間で発作を繰り返したり、発作時のケガで出血が止まらなかったりという場合は、救急車を呼ぶようにしてください。対応が不安な際には、周りに助けを求めることが大切。周りに人がいなくてどう対応したらいいか分からないときにも、救急車を要請して大丈夫です。

また、発作時の様子は、診断や治療に役立ちます。発作の時間や当時の状況、症状などを観察しておくと良いでしょう。スマホで撮影して記録することも、有効とされています。(※11)

まとめ


本記事では、子供のてんかんについて解説しました。てんかんは子供が発症することが多く、症状は多岐にわたります。発作は意識を失ったり、けいれんしたりというだけでなく、一見てんかんとは結びつかないような行動を取るケースも存在します。早期発見し、適切な治療に結びつけることが大切です。

また、てんかんを持つ子供は、命の危険性がない限り、通常通りの日常生活を送ることが推奨されています。しかし、同時に、規則正しい生活を送ったり、発作の誘発因子を避けたりという点においての心がけが必要。家庭、病院、学校がしっかり連携を取り、子供の発達をサポートしながら、治療を進めることが重要です。

 

【参照】
※1 てんかん対策|厚生労働省
※2 子どものてんかんとは?|武田薬品工業株式会社
※3 てんかんとは|岡山大学病院 てんかんセンター
※4・7 小児のてんかん|慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイト KOMPAS
※5 お子さんのその症状、もしかして「てんかん」?|てんかんinfo
※6 第6回 てんかんと発達障害|NCNP病院 国立精神・神経医療研究センター
※8・9 てんかんは治るのですか?|一般社団法人 日本小児神経学会
※10 小児てんかん|てんかんinfo
※11 発作時の対応について|武田薬品工業株式会社

この記事を監修した人

CBD JAPAN 編集部

CBD JAPANは2021年10月に設立された企業で、「心身の本来の力を引き出し、健康で明るい社会を作る」というミッションを掲げています。コラムは全て下記の監修者のもとで、コンテンツ制作ポリシーに従い制作しております。

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