赤ちゃんのてんかんの初期症状は?てんかんとよく間違われる動きも紹介
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2024年9月30日

赤ちゃんのてんかんの初期症状は?てんかんとよく間違われる動きも紹介

生まれたばかりの赤ちゃんが見慣れない動きをしていて不安になるのは当然のことです。なかには、「これって病気?」と病院を受診することもあるでしょう。また、生後間もない赤ちゃんは、けいれんのようなプルプルとした動きをすることや、咄嗟に手を広げるような行動を取ることも。「もしかして、てんかん?」「大きな病気なのでは?」と心配になってしまう場合もあるかもしれません。

本記事では、赤ちゃんのてんかんの初期症状を解説。てんかんと間違われがちな動きについてもご紹介します。赤ちゃんが気になる動きをした際にどうしたらいいのかも解説しているので、ぜひ最後まで目を通してみてください。

てんかんとは


てんかんとは、脳の神経細胞に異常な電気活動が起こることによる「てんかん発作」を繰り返す脳の疾患です。日本における有病率は1000人に5〜8人で、約60万〜100万人だと推定されています。(※1)赤ちゃんから高齢者まで、すべての年齢で発症する可能性があるとされており、決してめずらしい病気ではありません。

日本におけるてんかん発症率の調査では、てんかん発作をはじめて経験した年齢は、0歳の赤ちゃんが最も多いことがわかっています。1歳を超えると発症率は大幅に減り、40代以降で再び発症率が上がります。また、男女の有病率に大きな差はないことがわかっています。(※2)

てんかんとひと口にいっても、原因や症状はさまざまです。新生児から思春期(18歳ごろ)までに発症するてんかんを総称して、「小児てんかん」と呼ばれています。(※3)

てんかんの原因

てんかんは、原因別に「症候性てんかん」と「特発性てんかん」の2つに分けられています。症候性てんかんは、髄膜炎や脳卒中など、脳に何らかのダメージが起きたことで発症するてんかんを指します。一方、特発性てんかんは、原因を特定できないケースを指しています。

諸説ありますが、小児てんかんにおいては1歳までの発病が多く、症候性てんかんの割合が高いとされています。また、新生児(生後28日以内)のてんかんは、妊娠時や分娩時に何らかのトラブルで脳が傷つくことに起因しているケースが多いようです。先天性代謝異常や先天性奇形、感染症への罹患などにより発症するケースも存在します。

新生児のてんかんの症状は、出生時の体重が軽い子に起こる頻度が高い傾向があることもわかっています。(※4)

てんかん発作の症状はさまざま

てんかん発作としては、「突然意識を失い、ガクガクとけいれんする」というイメージが広く知られていますが、決してそれだけではありません。

体の一部が勝手に動く、ぼーっと一点を見つめるなども、発作の一種です。(※5)落ち着きがない、ぼんやりしているという印象を受ける状態が繰り返される場合も、発作である可能性があります。数秒程度で終わってしまうため、周囲が見落としてしまうケースも多くあるといわれています。

赤ちゃんによく見られるてんかん発作の特徴


赤ちゃんや幼い子どものてんかん発作も多岐にわたり、見極めが難解なケースが多々あります。以下では、乳児期によく見られる発作をご紹介します。(※6・7)

れん縮発作:手足や頭部に突然数秒程度力が入る
スパズム(点頭)発作:頭部を垂れたり、四肢を縮めたりという動作を繰り返す
ミオクロニー発作:手足が一瞬ピクッと動く

上記は代表的な発作ですが、これらがすべてというわけではありません。このような数秒程度の発作を繰り返すケースが多いとされています。通常の「けいれん」とは症状が異なるため、見落としにつながりがちです。いずれも繰り返し出現するため、少しでも気になる点があれば引き続き注視しておきましょう。

新生児の場合はさらに見極めが難しい場合が多い

新生児のてんかん発作は、さらに見極めが難しいとされています。生後28日以内というと、親もまだ赤ちゃんを見慣れていない状況です。また、新生児はそもそも動きが少ないことも、見極めの難しさにつながっています。

新生児のてんかん発作は、けいれんを伴わないケースが多々あります。具体的な例としては、ぐったりしている、顔色に違和感がある、手足が不自然な動きをしている、一時的に呼吸をしていないなどです。ほかの病気との区別が難しいため、注意が必要とされています。(※8)

てんかん発作と間違われやすい赤ちゃんの動き


赤ちゃんには原始反射があり、その見慣れない動きをてんかんとして勘違いするケースがあります。また、小児にはさまざまな発作が起きる場合があるため、てんかんとは分けて考える必要があります。ただ、いずれも繰り返したり、違和感があったりする場合は、注意が必要です。目の当たりにした際に、冷静に対応するためにも、代表的な以下の動きを頭に入れておきましょう。

モロー反射

モロー反射とは、新生児や乳児が何らかの刺激に反応し、突然腕や脚を広げる動作のことです。赤ちゃんに生まれつき備わっている原始反射であり、正常な動きです。大きな音だけでなく、少しの刺激で起こることもあります。

モロー反射は、赤ちゃんの意思とは関係なく、特定の筋肉が動くのが特徴。生後4ヶ月ごろには、自然に消失します。(※9)

入眠時ミオクローヌス

入眠時(睡眠時)ミオクローヌスは、赤ちゃんや小児に限らず、大人にも起こる筋肉不随意運動です。眠りが浅い時や寝心地が悪い時などに、突然「ビクッ」とけいれんのような動きをするのが特徴です。高いところから落ちる夢を見た際に起こるケースもあります。健康な人でも起こる可能性がある動きです。

しかし、てんかん発作の症状として起こることもあるため、連続する場合は、注意が必要です。(※10)

身震い発作

乳幼児期は、身震い発作という突然数秒間震える発作が出現します。首や腕をブルブルと震わせ、意識を失うことはありません。食事中や何かに興奮した際に起こるケースが多く、正常な動きとして知られています。(※11)

熱性けいれん

熱性けいれんは、5歳ごろまでの乳幼児期に、38度以上の高熱が出た際に出現するけいれん発作です。白目をむいたり、ガクガクと体を震わせたりします。基本的には、15分以内に発作がおさまるケースが多く、24時間以内に1回しか繰り返さないといわれています。小児の7〜8%に起こる、めずらしくない発作です。

熱性けいれんは発熱時にしか起こらないのに対し、てんかん発作は、発熱に関わらず出現します。(※12)

慣怒けいれん

慣怒けいれんとは、大泣きに伴い、チアノーゼのようになり、全身が脱力する状態を指します。生後6ヶ月から2.3歳ごろの小児の4〜5%に見られる症状です。泣くことによる無呼吸や脳の無酸素状態などが原因とされています。

呼吸が停止し、意識を喪失するケースがありますが、呼吸がすぐに再開する場合が多く、後遺症は残りません。発生前に必ず「大泣き」や「驚き」などの誘因がある点が、てんかん発作とは大きく異なります。(※13)

チック

チックとは、体の一部が不規則に速い動きを繰り返す状態です。まばたきや咳払い、鼻すすりなどが一時的に現れます。多くの子どもに見られる症状で、自然と軽快する傾向にあります。(※14)

赤ちゃんが気になる動きをしていたら?


赤ちゃんや小さい子どもは、体の不調をうまく伝えることができません。そのため、一緒に生活をする家族や周囲の人が異変を察知し、医師につなげることが重要です。

日常生活を送るなかで、「子どもの様子が気になる」「てんかんかもしれない」と感じた際には、発症時の様子や頻度をしっかり把握しましょう。医師への説明が難しい場合は、スマホで撮影しておくと、診断の際に役立ちます。医師と親子のしっかりとした連携が、スムーズな治療につながります。

また、発作時のけいれんが5分以上に及んだり、けいれんが連続的に続いたりする際には、救急車の要請が必要です。普段と違う様子の我が子を目の前にしてパニックになるかもしれませんが、できるだけ落ち着いて対応するようにしてください。(※15)

まとめ


本記事では、赤ちゃんのてんかんの初期症状や、間違われやすい動きについて解説しました。小児の発作としてよく見られるものには、手足に突然力が入る「れん縮発作」や、頷くような「スパズム発作」、手足がピクつく「ミオクロニー発作」などがありますが、発作とはわからないようなケースも多々あります。

見逃しにつながらないためにも、子どもの様子をよく観察し、違和感を覚えた場合は、かかりつけ医に相談するようにしてください。その後の治療のためには、早期発見が重要です。

 

【参照】

※1 てんかん対策|厚生労働省
※2 子どものてんかんとは?|武田薬品工業株式会社
※3 小児てんかん|てんかんネット
※4 小児てんかん|てんかんinfo
※5 小児のてんかん|KOMPAS
※6 赤ちゃん、乳児のてんかん発作の特徴はありますか?|てんかんinfo
※7 ウエスト症候群(指定難病145)|難病情報センター
※8 小児科の病気:てんかん|徳州会グループ
※9 ウエスト症候群でみられるスパズム発作とモロー反射の違いはなんですか?|ユビー 病気のQ&A
※10 ジャーキング|みやけ内科・循環器科
※11 けいれん|つだ小児科クリニック
※12 熱性けいれんってなぁに?|CAPS CLINIC
※13 泣き入りひきつけは何故起こるのですか?|一般社団法人 日本小児神経学会
※14 チック症・トゥレット症|NCNP病院 国立精神・神経医療研究センター
※15 お子さんのその症状、もしかして「てんかん」?|てんかんinfo

この記事を監修した人

CBD JAPAN 編集部

CBD JAPANは2021年10月に設立された企業で、「心身の本来の力を引き出し、健康で明るい社会を作る」というミッションを掲げています。コラムは全て下記の監修者のもとで、コンテンツ制作ポリシーに従い制作しております。

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