ニュージーランドで嗜好用大麻の合法化を問う国民投票
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2021年10月3日

ニュージーランドで嗜好用大麻の合法化を問う国民投票

2020年、国民投票で嗜好用大麻の合法化の是非を問う国はニュージーランドが初だった。賛成が過半数に達すれば、次期政権が合法化の法案を国会に提出。20歳以上であれば、認可された店舗で大麻を1日当たり14gまで購入し使用できるほか、個人で最大2株、1世帯当たり最大4株の栽培が可能になる。

大麻の国民投票の結果に対する反応は、大きく二分された。50.7%対48.4%という僅差で拮抗し、問題がまだ政治的に生きている証拠と指摘する人もいた。
反対派は、「大麻は特に若者の認知機能や記憶力にダメージを与え、呼吸障害などを助長する。他の違法薬物に手を染めるきっかけにもなる」と指摘する。
一方、賛成派は、海外での調査結果をもとに「大麻はたばこやアルコールと比べ、健康への有害性は著しく低い」と主張。

選挙当日の票差をかなり縮めた特別開票の発表前、当時のアンドリュー・リトル司法相は、

有権者は、娯楽用大麻のさらなる合法化と非犯罪化に不快感を抱いている。ニュージーランドの有権者は準備ができておらず、我々はその意思を尊重しなければならない。

と語っており、アーダン首相もその意見に同調した。

国民投票となれば、多数決は多数決であり、政府として何をするかという点では、バランスを崩すことはない。もし国民投票が過半数を占めれば、立法を進めるとニュージーランド国民に約束した。そうでなければ、法案を提出しない。
短期的に見れば、このような判断は理解できる。娯楽用大麻の合法化は、政府が今すぐ政策課題として必要とする問題ではない。しかし、中長期的に見れば、この問題を脇に追いやるには疑問が残る。

国民投票は粗雑な装置であり、「ニュージーランドの有権者」が一斉に発言したという考え方は単純過ぎるのではないか。
実際、有権者は大麻に対して、「YES」「NO」の投票では表現しきれないほど複雑な意見を持つ個人で構成されている。特に、国民投票の設問では、非犯罪化の選択肢を認めていない。

社会への害を減らすことが目的なら、費用対効果の分析で大麻の禁止は失敗している。高齢者が強く支持し、若者が強く反対したイギリスのBrexitの投票と同様に、ニュージーランドの大麻国民投票の結果も年齢で規定された。
選挙後の調査データによると、50歳以上の過半数が合法化に反対票を投じている。50歳以下は過半数が賛成票を投じた。
この差の狭さを考えると年齢による嗜好がほぼ同じで、このデータがある程度正確であると仮定すれば有権者の世代交代が進み、合法化と規制に賛成する人が多数派になる日もそう遠くはないだろう。

2回目の国民投票が行われれば、多くの若者が有権者になる一方で、その間に多くの高齢者が亡くなり、結果は逆転する可能性が高い。
また、決戦投票に至るまでの議論の質の低さと広く知られた嘘は、2度目の国民投票の要求を煽った。

引用:THE CONVERSATION『The numbers suggest the campaign for cannabis reform in NZ will outlive the generations that voted against it

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