オランダ大麻政策の全貌!歴史から最新動向まで解説
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2024年3月23日

オランダ大麻政策の全貌!歴史から最新動向まで解説

世界各国において大麻への対応状況が目まぐるしく変わっていく中、特にオランダにおける大麻の地位や規制について気になる方は多いのではないのでしょうか。

今回の記事では、オランダでの大麻の法的地位や規制、その歴史や最新の政策まで、解説していきます。

オランダにおける大麻の法的地位

医療大麻の合法化と普及

医療大麻の合法化は、オランダが先駆的な国の一つとしてその歴史を刻んでいます。この政策の下、患者が大麻を医療目的で利用できるようになりました。医療大麻は、特定の症状や疾患の治療に効果があるとされ、その需要は年々拡大しています。

嗜好用大麻の法的規制と歴史

オランダの大麻政策は歴史的に複雑な経緯を辿ってきました。以前は嗜好用大麻も比較的寛容な規制下にありましたが、近年では規制が厳格化しています。現在の法的枠組みは、過去の経験や国内外の影響を受けながら、バランスを求めたものとなっています。

ウィードエクスペリメント(大麻合法化の実験プログラム)

プログラムの概要と目的

ウィードエクスペリメントは、2019年にオランダ政府の上院で承認された大麻合法化の実験プログラムです。

このプログラムは、大麻の合法化がもたらす社会への影響を評価することを目的としています。具体的には、大麻の合法化が犯罪率や健康への影響に及ぼす影響を調査し、政策決定に役立つデータを収集することが主な目的です。

自治体とコーヒーショップの役割

オランダでは、大麻文化として、自治体とコーヒーショップが重要な役割を果たしています。

自治体は、地域ごとに異なる規制や方針を立案し、大麻の販売や利用を管理しており、コーヒーショップは、大麻製品の販売や提供を行い、消費者に安全で適切な環境での大麻の利用を提供しています。

大麻の所持・使用に関する規制

所持量と罰則の定め

オランダでの大麻の所持・栽培の規制は下記の通り。
■規制内容
・利用:18歳以上
・栽培:5株まで
・所持:一人5gまで

一本のロールに利用する量は主に0.3gとされているため、5gは既にかなりの量とされています。

この量を超える場合や、未成年者が大麻を所持している場合は、法的な罰則が科せられる可能性があります。
罰則は、警告や罰金、社会奉仕などの形で課されることが一般的です。

罰則

■所持に関する罰則
・5g以上の大麻を所持している場合:€75(約1万円)の罰金と大麻の没収。
・30g以上の大麻を持っている場合:最長2年の懲役、または最大€16,750(約270万円)の罰金、または両方。

■所持に関する罰則
・5鉢以上が発見された場合:最長4年の懲役、または最大€67,000(1100万円)の罰金、または両方。

観光客への留意事項

オランダを訪れる観光客が大麻を利用する際には、いくつかの留意事項があります。

まず、大麻の利用は18歳以上に限られており、未成年者が大麻を利用することは法律で禁止されています。また、公共の場所での大麻の使用は禁止されており、コーヒーショップなどでのみ許可されています。さらに、大麻を利用した後は、運転や危険を伴う作業を行わないよう注意する必要があります。

大麻販売とコーヒーショップの運営

年齢制限と販売方法

オランダにおける大麻の販売には厳格な年齢制限が設けられています。

大麻を購入するためには18歳以上であることが必要です。これは、未成年者の大麻の利用を防ぐために行われています。大麻の販売方法は、特定のコーヒーショップでのみ許可されており、一般的な販売店やオンラインでの販売は禁止されています。また、大麻製品の販売に際しては、購入者が年齢を証明する必要があります。

コーヒーショップの規制と管理

オランダのコーヒーショップは、大麻を販売する施設として知られていますが、その運営には厳格な規制があります。

例えば、コーヒーショップは特定の条件を満たさなければならず、その一部は以下の通りです。
・コーヒーショップは大麻製品の販売にのみ特化し、アルコールの販売は禁止されています。
・大麻製品はコーヒーショップ内でのみ消費が許可されており、公共の場での持ち運びや使用は違法です。
・コーヒーショップは地元の自治体の承認を受ける必要があり、厳密な規制と監督が行われています。

大麻販売の規則「AHOJ-G基準」

前述の通り、オランダにおいて、大麻の販売は当局により容認されています。

基本的に「AHOJ-G基準」と呼ばれる下記規則に従っている限りは取締りは行われません。

    A(geen "A"ffichering):宣伝を行わない。
    H(geen "H"arddrugs):ハードドラッグを販売しない。
    O(geen "O"verlast):公衆に迷惑をかけない(騒ぎやたむろ、路上駐車違反などの迷惑行為を起こさない)。
    J(geen verkoop aan "J"eugdigen):未成年(18歳未満)への販売を行わない。
    G(geen verkoop van "G"rote hoeveelheden):法定の分量上限(5g)を超える売買取引を行わない。

医療大麻の規制と利用条件

医療用途と処方条件

医療大麻の利用は特定の医療用途に限定されています。これには、慢性の疼痛管理や、てんかん、統合失調症などの特定の症状や疾患の治療が含まれます。しかし、医療大麻の処方条件は厳格であり、一般的には他の治療法が効果的でない場合に限られます。医師は患者の症状や状態を評価し、医療大麻の使用が適切かどうかを判断します。処方される医療大麻の種類や用量も患者の個別のニーズに応じて調整されます。

製造業者と品質管理

医療大麻の製造業者は、厳格な規制と品質管理基準を満たす必要があります。

これには、栽培から製品化までの生産プロセス全体にわたる品質管理が含まれます。

製造業者は、適切な施設で医療大麻を生産し、製品の品質と安全性を確保するために正確なラベリングや検査を行う必要があります。また、製造業者は地元の規制当局からの承認を受ける必要があり、定期的な監査を受けることもあります。これにより、医療大麻製品の品質と安全性が確保され、患者にとって安心して利用できるものとなります。

大麻の栽培に関する規制

個人栽培と商業栽培の違い

オランダにおける大麻の栽培には、個人利用と商業利用の2つの異なる規制が存在します。

個人栽培

個人栽培は自分自身や身近な人のために大麻を栽培する活動を指し、主に医療目的や個人使用のために限定されています。この形態では、栽培される大麻の量や方法に規制があり、商業的な規模の栽培とは異なります。

商業栽培

商業栽培は大規模な農業活動として、大麻製品の商業的な需要に応えるために行われます。この場合、より厳格な規制が適用され、栽培業者は政府の承認を受ける必要があります。また、栽培される大麻の品質や安全性に関する基準も非常に厳しいです。

栽培業者の役割と変化

栽培業者は大麻の栽培から製品化までのプロセスにおいて重要な役割を担っており、政府の規制に従い、安全で品質の高い大麻製品を生産する責任を持っています。

近年では、持続可能性や環境への配慮も重視されるため、栽培業者は従来の方法に加えて、より環境にやさしい栽培方法や技術を導入することにも力を入れています。

大麻の合法化や規制の変化に伴い、栽培業者の役割も変わり、市場の拡大や需要の増加に応じて、栽培業者はより効率的な生産方法や新しい製品の開発に取り組んでおり、医療大麻の需要の増加に伴い、より専門化された製品の開発や研究にも注力しています。

運転中や公共の場での規制について

運転中の大麻使用と罰則

オランダでは、運転中の大麻使用には厳しい規制があります。大麻の影響下での運転は、酒気帯び運転と同様に法的に禁止されています。運転中に大麻を摂取すると、注意力や反応速度が低下し、事故を引き起こすリスクが高まります。

運転中に大麻を使用した場合、警察によるドラッグテストで陽性反応が出れば、運転者は罰則を受けます。罰則には、運転免許の取り消しや運転禁止、罰金の支払いなどが含まれます。また、大麻を所持していた場合にも同様の罰則が科されることがあります。

法律の進化と社会への影響

オランダでは近年、大麻の運転規制に関する法律が進化しています。これは、大麻の合法化に伴う社会的な変化や科学的知見の進展に基づくものです。運転中の大麻使用のリスクがより明確になるにつれて、法執行機関や政府はより厳格な対策を取るようになっています。

また、大麻の運転規制が厳格化することで、社会全体に安全な運転文化が浸透することが期待されています。交通事故のリスクが低下し、道路上での安全が確保されることで、社会全体の健康と安全が向上すると考えられています。

公共の場での使用禁止と警察の対応

オランダでは公共の場での大麻使用に対しても厳しい規制があります。大麻は公共の場での使用が禁止されており、公園や街中での大麻の喫煙は違法行為とみなされます。このような行為は、一般市民の安全や健康に対するリスクを高める可能性があるため、警察は積極的に取り締まりを行っています。

大麻使用の取り締まりには、パトロールや定期的な警察の巡回などが含まれます。違法な大麻使用が発見された場合、警察は違反者に対して警告を与えることもありますが、重大な場合には罰金や逮捕などの厳しい措置を取ることもあります。これにより、公共の場での大麻使用は社会的な問題として認識され、適切な対策が取られています。

アムステルダムの事例と現状

アムステルダムは、オランダ国内で最も有名な大麻の使用が許容される都市の一つですが、公共の場での大麻使用に関しても厳しい規制があります。市内の多くの公共スペースでは大麻の使用が禁止されており、特に観光客に対しては警告や罰金が課されることがあります。

アムステルダム市当局は、公共の場での大麻使用に対する取り締まりを強化し、市内の治安や観光客の安全を確保するための取り組みを行っています。これにより、アムステルダムでは大麻規制の厳格化とともに、市内での治安が向上し、観光客にとっても安心して滞在できる環境が整備されています。

オランダにおける公共の場での大麻使用規制は、市民の安全と社会秩序を維持するために欠かせないものです。
警察の積極的な取り締まりや市当局の取り組みにより、アムステルダムを含む多くの都市で大麻規制が強化され、市民や観光客の安全が確保されています。

ハーム・リダクション政策

日本に住んでいると、薬物利用や所持に対しての罰則は、厳罰であることが当たり前、といったイメージがありますが、オランダではあえて一部薬物の使用を合法化することで全体の薬物依存者を抑制する、「ハーム・リダクション(Harm Reduction)」という新しい考え方が広がっています。

詳しくは、下記記事をご覧ください。

「ハーム・リダクション」。大麻先進国オランダの薬物依存への考え方とは

まとめ

オランダの大麻政策に関して、今回の記事では解説しました。

大麻栽培、販売、所持に関して異なる規制が設けられているオランダ。大麻等の薬物に対して、諸外国の中でも早くから社会的に取り組んでいる「大麻先進国」として、世界各国の政策の参考事例として今後も注目の的となりうるでしょう。

この記事を監修した人

CBD JAPAN 編集部

CBD JAPANは2021年10月に設立された企業で、「心身の本来の力を引き出し、健康で明るい社会を作る」というミッションを掲げています。コラムは全て下記の監修者のもとで、コンテンツ制作ポリシーに従い制作しております。

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