グアムの大麻事情|完全合法化と日本人の使用について
一方、リゾート地としても人気が高いだけに、日本人が現地で使用するのは問題になるのか、というポイントは多くの方が気になるでしょう。
そこで本記事では、グアムの大麻事情について解説していきます。特に今後旅行を検討している場合は是非参考にして下さい。
目次
グアムは観光客向けに大麻を解禁
今回の完全合法化に伴い、結論としてグアムは観光客向けに大麻を解禁することを決定しました。
当然その中には日本人観光客も含まれており、少なくとも現地の法律においては合法的に使用が可能となるでしょう。
しかし、日本の大麻取締法は国外使用であっても注意しなければならない内容があるため、まずはグアムの大麻事情や今回発表されるに至った経緯について整理していき、正しい認識を身につけていきましょう。
グアムの大麻事情について
これまであまり注目していなかった方にとっては、グアムが大麻を完全合法化したことによって具体的に何が変わったのか、産業ビジネスとしてどの程度の効果があるのかもイメージが掴めないでしょう。
そこでここではまず、これまでの大麻事情と今後の展望について解説していきます。
そもそも完全に禁止はされていなかった
実はグアムでは大麻を全面的に禁止していたわけではなく、以下のようなルールに基づいて使用を許可していた背景があります。
- 21歳以上の成人が嗜好品として利用する
- 使用者が自身で大麻草を栽培する
- 個人間の譲渡譲受は禁止
- 売買は禁止
以上の通り、嗜好品として自身で栽培、使用する分には法的に認められていた一方、観光客はもちろん店頭や個人間でさえも売買することは禁じられていました。
したがって、グアムと大麻の印象が結びつきにくい背景はこういったクローズドな施策も1つの要因となっており、日本人としてはもっぱらリゾート目的がメインだったのです。
完全合法化の意味するところとは
先ほど解説した通り、グアムでは大麻自体が禁止されていたわけではありませんでしたが、今回の完全合法化発表によって譲渡はもちろん売買も法的に認められることになりました。
また、この決定はコロナ化における観光ビジネスの減収が深く関わっており、アウトバウンド向けに大麻を販売することで観光復興を目的としていることを政府が会見しています。
したがって、グアムの大麻完全合法化が意味するところは観光客も大麻を使用できるようになるということであり、国内外にとって大きな影響をもたらすイベントなのです。
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医療用と嗜好用の大麻の合法化に至るまでの歴史
実は、グアムでは地元の有権者が支持した提案により、2014年に医療大麻の合法化が行われていました。
その後、2019年には大麻の嗜好用途における合法化も行われ、これにより成人は合法的に大麻を所持および使用することができるようになりました。
日本人の使用について
グアムが国を挙げて観光客向けに大麻ビジネスを開始するにあたって、特に気になるのは日本人が利用しても良いのかどうか、というポイントです。
実際のところ日本における現在の法律では大麻取締法によって厳しく規制されており、現地で何らかのきっかけで接種してしまった場合、帰国した後の処遇を気になる方も多いでしょう。
そこでここからは、グアムで大麻を使用した際の違法性についてを解説していきます。
完全合法化後の観光客のグアムでの使用
まず一般的なグアムでの使用についてですが、完全合法化された後であれば観光客であっても現地で使用することができるとされています。
これは現在政府が発表している内容や、アウトバウンドの観光収入確保を目的としていることからも明らかです。
一方、二十歳以下の未成年においては法律以前に身体と倫理的観点から推奨はできませんので、その点には依然として十分注意する必要があります。
しかし、日本人の観光客はどうでしょうか。
日本帰国後の処遇について
グアムでの使用は政府が認めていますが、こと違法とされている日本の法律上はどうでしょうか。
まず大前提として大麻取締法は国外における犯罪行為に対応できるよう、刑法第2条の国外犯の規定も採用していることから、当然グアムであっても適用することが可能です。
しかし、そもそもこの規定はアヘン製造や通貨偽造、航空機のハイジャック等、様々な国家間に損失を与える重大犯罪行為をカバーしており、それらの意味するところは世界各国共通の不利益を処罰するということとなります。
したがって、合法化し観光収益として活用したいグアムにとっては大麻の使用は損失どころか利益を生み出す歓迎すべきものであるため、国外犯の規定から外れるのです。
一方、大麻取締法第24条の8ではみだりに栽培や所持、あるいは日本国内や他国へ輸出入することを禁止しており「所持や売買」に関しては国外においても適用することがある、と比較的グレーな規定となっています。
ただし、「自己使用」については規制されていないことに加えて、合法化された国に限定する分には「違法性のあるみだりな使用」に該当せず、帰国後に立件することも難しいことから、結果的に違法行為として処罰される可能性は低いといえるでしょう。
一点注意しておきたいのは、あくまでも日本においては違法であることに変わりはなく、国外では大麻取締法が適用されないと断言することはできないため、自己責任で判断するようにして下さい。
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外務省は海外利用についてなんて言っている?
外務省HPを参照すると、下記文章が記載されています。
(1)麻薬類
2019年4月、グアムでは、21歳以上の成人による娯楽用大麻の使用等が条件付きで合法化されました(使用量の制限や使用後の運転禁止等の規制あり。また米国連邦法では大麻は違法薬物)。ただし、日本の大麻取締法は、大麻をみだりに栽培、所持、譲受、譲渡した場合などに対する罰則規定があり、これらの行為は日本国外で行われても罪に問われる場合があります。大麻には決して手を出さないようにしてください。(■参考:外務省リンク)
「大麻に関する行為は、日本国外で行われても罪に問われる場合があります。大麻には決して手を出さないようにしてください。」
と明示されている以上、興味本位での購入や利用は絶対にやめておきましょう。
個人使用のための大麻所有や栽培について
下記、箇条書きでグアムの大麻事情を整理してみました。
許可されている所持量
・乾燥大麻:最大28グラム
・大麻濃縮物:8グラム以下(THC含有量800mg以下)
・大麻注入製品:所持・使用が認められています
・公共の場での使用: 禁止されています
所持量超過に対する罰則
・28グラム以上所持:60日以下の懲役および最大500ドルの罰金
・学校区域での所持:1年以下の懲役および最大1,000ドルの罰金
大麻栽培について
・許可されている栽培本数:6本以下(花のついた株は3本まで)
・栽培条件:公共の場所から見えない居住地内
大麻の販売や譲渡について
・許可されている譲渡:
-28グラム以下の大麻
-未成熟の大麻株
-8グラム以下の大麻濃縮物(THC含有量800mg以下)
・目的:個人使用の最大量までの無料譲渡
販売目的での栽培や配達に対する罰則
・初犯:10年以上20年以下の懲役および50,000ドル以下の罰金
・2回目の逮捕:最低15年の懲役および100,000ドル以下の罰金
18歳未満への大麻配布に対する罰則
・18歳未満への配布:3年の禁固刑
・学校敷地内や指定スクールでの譲渡:3年間の禁固刑
医療用の大麻所有や栽培について
医療大麻の利用は、特定の医師からの処方箋を持っている患者に限られ、処方箋には使用方法や使用期間などが記載されています。
下記に主に処方される病気を記載します。
・てんかん
・心的外傷後ストレス障害(PTSD)
・AIDS/HIV
・癌
・多発性硬化症
・緑内障
・関節リウマチ
・脊髄損傷
・その他、医療用大麻による疾患緩和を医師に判断された場合
大麻の栽培と生産に関する規制
成人は、一定の手続きを経て大麻を栽培することが許可されており、医療患者も自身の治療に使用するために大麻を栽培することができます。
ただし、一定の制限や規制が存在し、違反すると罰則が科される可能性があります。
・21歳以上の成人:大麻草6本まで栽培可能。
・医療用大麻患者(またはその介護者):成熟した大麻草6本+未熟な大麻草12本まで栽培可能。(許可を得て15ドルを支払う必要あり)
※どちらの場合も、販売行為などが確認された時点で犯罪行為となりうる為、個人利用に留めておく必要があります。
交通規制や公共の場での利用
大麻の利用は、運転中や公共の場での利用が禁止されています。また、大麻を所持している場合の車両内での規制も存在します。
運転中の規制と法的罰則
グアムでは大麻が合法化されていますが、運転中の大麻使用は厳しく禁止されています。
違反すると重い罰則が科される可能性があります。これは、交通事故のリスクを増大させるためです。
罰則は飲酒運転と同様かそれ以上とされ、最低100ドルの罰金に加え、免許剥奪の可能性があります。
大麻と飲酒運転はどっちの方が危険?
大麻の運転中の使用と飲酒運転にはどの程度危険性の違いがあるのでしょうか。
国立薬物乱用研究所(National Institute on Drug Abuse)は、 下記の情報を示しています。
>・THCの血中濃度レベルと運転能力の低下に相関性があること。
>・飲酒運転者と比較して、血中にTHC濃度が高い運転者は自動車事故を起こす可能性が3~7倍高くなること。
飲酒運転でさえ非常に重大な事故を起こすと言われていますが、更に事故を起こす確率が上がるようです。
公共の場での大麻利用の規制
公共の場での大麻利用は、他の人々の安全や健康への影響を考慮し、禁止されています。
公共の場での大麻利用に対する罰則は、警察の裁量によって異なりますが、最低100ドルの罰金、もしくはより重い罰則が科される可能性があります。
完全合法化後の注意点
ここからは、グアムにて完全合法化されている場合の注意点について解説していきます。
特に今後旅行を検討している方はしっかり押さえておきましょう。
絶対に日本国内には持ち込まない
先ほどグアム国内において使用する分には逮捕される可能性は低いと解説しましたが、スーツケースや衣服からだし忘れて日本に持ち込んだ場合は完全に違法行為に該当し、その場で逮捕されることとなります。
また、現地においても所持すること自体は大麻取締法によって規制されているため、基本的には持ち歩かないように細心の注意を払うようにして下さい。
ちなみに大麻は特有の匂いを発しており、燃焼されるとそれが顕著になるため衣服や髪の毛にも付着することで経験のない方にとっても強い異臭に感じられます。
したがって、ほとんどの場合隠し通すのは困難であるため、安易な気持ちで行動するのも決しておすすめはできません。
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現地でも売買に加担しない
所持はもちろん、国外の売買に関しても大麻取締法で規制される可能性があります。
したがって、現地で安く仕入れて別の観光客に販売するといった行為も違法性を問われる行為に該当し、グアム国内においても犯罪行為として逮捕される可能性もあるでしょう。
また、万が一そういった話を持ち掛けられた場合も断るようにしてください。
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大麻完全合法化はグアムの新たな観光への取り組み
ここまで解説した通り、今回グアム政府が発表した大麻の完全合法化は、コロナショックによる減収分をカバーするための国を挙げた施策であり、新たな観光の目玉を世界に提示することで復興を図っています。
また、その対象には日本人旅行者も含まれており、今後取り組みが具体的にスタートすることで、グアム旅行を検討する方も増加する可能性があるでしょう。
一方、日本の大麻取締法は国外の所持や売買でも適用される可能性があり、現地で逮捕されるケースは少ないとしてもあくまで自己責任の楽しみ方となります。
本記事では法的な背景や注意点を詳しく解説してきましたので、正しい認識の参考にして下さい。
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