ストレスが原因でてんかんになることはある?てんかんとストレスの関係性
本記事では、ストレスがてんかんにどう影響を及ぼすのかを解説します。「ストレスが原因で、てんかんが起こることはあるのか」「ストレスはてんかんを助長するのか」などについてもまとめています。
最後には、てんかん発作とよく似ている「心因性非てんかん性発作」についてもご紹介しているので、ぜひ目を通してみてください。
目次
ストレスが原因でてんかんになることはある?
前述の通り、てんかんとは、てんかん発作を繰り返す脳の病気です。脳の神経細胞に、異常な電気信号が流れることで、引き起こされます。
結論からお伝えすると、ストレスがてんかんの直接的な原因になることは稀だと考えられています。(※2)しかし、てんかんになる原因はさまざまで、原因が分からないてんかんも存在しているのが現状です。事実、原因がはっきりとしないてんかんが全体の約6割を占めているというデータが存在します。(※3)
ストレスが原因でてんかんになることは、稀ではあるものの、原因不明なものも多いということを押さえておきましょう。
ストレスはてんかん発作を誘発する可能性がある
ストレスが原因でてんかんになることは稀ですが、ストレスによって、てんかん発作を引き起こす可能性があると考えられています。(※4)
既にてんかんと診断されている人は、ストレスを溜めないように生活することが大切です。
てんかん発作を誘発する因子
先ほど、ストレスがてんかん発作を誘発する可能性がある点に触れましたが、ほかにも、さまざまなことがてんかん発作のきっかけになると考えられています。てんかん発作は、偶発的に起こるものが約80%、誘発されて起こるものが約20%、反射的に起こるものが約1%とされています。(※5)
以下では、てんかんを誘発する可能性があるものとして、よく知られてる因子をご紹介します。(※6・7・8)
ストレス
冒頭でもご紹介しましたが、ストレスは、てんかん発作の誘因として有名です。また、不安や驚きのように、感情に動きがあったときにも発作が起こりやすいとされています。
できるだけ、ストレスを感じにくい生活を送ることが大切です。どのようなときにストレスを感じるのかを把握することからはじめてみましょう。
睡眠不足
睡眠不足や疲労も代表的な誘因の一つです。生活リズムを整え、無理なスケジュールでの行動を避けるようにしましょう。
薬の飲み忘れ
処方された薬を飲み忘れた場合も、てんかん発作につながってしまいます。処方量をきっちり飲み、自身の判断で増減しないことが大切です。もし飲み忘れてしまった場合に、どう対応したらいいのかを事前に確認しておくことも安心材料になり得ます。
特定の行為
計算やパズル、ゲーム、読書などの特定の行為が続いた後に、てんかん発作を起こすケースもあります。長時間集中しすぎると疲れてしまうため、適度に休憩をはさむことが大切です。もし発作のパターンを把握できている場合は、特定の行為を避けることで、発作を回避できるかもしれません。
特定の刺激
光の点滅やちらつき、縞模様などの刺激によって、てんかん発作が起きるケースが存在します。目をそらす、できるだけ刺激を避けるなどの対策で予防できることもあるでしょう。
体温の上昇
体温の上昇は、てんかん発作の誘発因子としてよく知られています。発熱や感染症だけでなく、気温の上昇や入浴によるものも要因になり得ます。
体温が上がるような環境では体を冷やす工夫が大切です。また、発作が頻発しているときには、入浴は避け、シャワーだけで済ませるのも対策の一つです。
月経
女性の場合は、月経周期に合わせて発作が起きるケースがあります。発作が起こりやすいタイミングを把握し、医師に相談するようにしてください。薬や治療により、予防できることもあるでしょう。
発作を抑えるためには自己コントロールが重要
てんかんの発作は偶発的に起こる場合が多いため、すべてをコントロールするのは難しいでしょう。しかし、てんかんを持つ人のうち、60〜70%の人は、抗てんかん薬によって発作をコントロールできている現状があります。さらに、多くの人が日常生活を送っているのも、また事実です。(※9)
てんかんの治療において、薬物治療以外に重要視されているのが、自己コントロールです。発作を進展させないためには、上で挙げたようなてんかん発作の誘因を避けることが、重要なのです。発作が起きるパターンを把握し、日常生活に生かすことで、充実した日々を送っている人は少なくありません。(※10)
そもそも、てんかんの原因は?
ここまで、てんかんとストレスの関係性やてんかん発作の誘因についてご紹介してきましたが、そもそもてんかんになる原因は何なのでしょうか。
てんかんは、原因別に大きく2つに分けられています。以下で、それぞれについて解説します。(※11・12)
症候性てんかん
症候性てんかんとは、脳の疾患や傷が原因で起こるてんかんのことを指します。
疾患や傷として、具体的なものとしては、出生時のトラブルや先天性形成異常、脳卒中や脳腫瘍、アルツハイマー病などが挙げられます。乳幼児から高齢者まで、幅広い年代で発症する可能性があるのが特徴です。
特発性てんかん
特発性てんかんとは、これといった原因が明らかでないてんかんのことです。
病変がなく、検査をしても異常が見つかりません。体質によって発症することもあると考えられています。
てんかん発作とよく似ている「心因性非てんかん性発作」とは
てんかんとストレスの文脈でよく紹介されるものに、「心因性非てんかん性発作」があります。心因性非てんかん性発作は、てんかん発作と似ているものの、脳の器質的異常は認められません。ストレスをはじめとする心理的な要因によって引き起こされると考えられています。以前は、「偽発作」「疑似発作」などと呼ばれていたこともありました。(※13)
てんかんを疑って来院する人の約1割程度が心因性非てんかん性発作だという調査が存在します。また、男性より女性に多いとされています。
薬物療法よりも心理療法のほうが効果的だと考えられており、カウンセリングなどによりケアをしていくのが一般的です。(※14)
まとめ
本記事では、てんかんとストレスの関係について解説しました。ストレスがてんかんの本来的な原因になることは稀ですが、ストレスが誘因となりてんかん発作が起こる可能性は考えられます。また、ストレスなどの心理的な要因によって引き起こされる、心因性非てんかん性発作も存在します。
てんかんの有無に関わらず、ストレスは心身にネガティブな影響を及ぼします。てんかんがある人もない人も、ストレスを軽減しながら日常生活を送っていくことが大切です。
【参照】
※1 てんかん対策|厚生労働省
※2・4 ストレスが原因でてんかんを起こすことはありますか?|ユビー 病気のQ&A
※3 てんかんについて知る|epiサポ
※5 小児てんかん|てんかんinfo
※6 てんかんについて|てんかんinfo
※7 てんかん|慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイト
※8 自己コントロールとは|てんかん情報センター
※9・12 てんかん|こころの情報サイト
※10 てんかんストーリー 第七回|てんかんinfo
※11 てんかんについて|公益社団法人日本てんかん協会
※13 心因性非てんかん発作について教えてください|てんかん情報センター
※14 心因性非てんかん発作(PNES)|今日の臨床サポート
この記事を監修した人
CBD JAPAN 編集部
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