「てんかんかも」と思ったら病院の何科を受診すべき?どんな症状がある?受診時の流れも紹介
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2024年9月17日

「てんかんかも」と思ったら病院の何科を受診すべき?どんな症状がある?受診時の流れも紹介

てんかんの人は、日本に約100万人存在するといわれています。もっと分かりやすくいうと、約100人に1人の割合です。あらゆる年代で発症する可能性があり、決してめずらしい病気ではありません。

本記事では、「もしかしたら、てんかんかも?」「子どもがてんかんかもしれない」と感じた際の受診先について解説。また、受診時の流れや、てんかん発作の具体的な症状についてもご紹介します。

「てんかんで、どこの病院を受診したらいいか分からない」という人は、ぜひ最後まで目を通してみてください。

てんかんかも?と思ったら、早急に病院の受診が必要


日常生活を送るなかで、「てんかんかも?」と感じた場合は、すぐに病院を受診することが大切です。

日常生活に支障をきたすてんかん発作は、治療により、コントロールする必要があります。また、てんかん発作が長時間持続する場合、早急に、適切な処置が必要です。場合によっては、脳へのダメージが大きく、後遺症が残ってしまうケースも存在します。(※1)

少しでも体調に違和感を感じたら、早期に病院を受診するようにしましょう。早期に治療することが、カギとなります。

てんかんは病院の何科で診てもらえる?


てんかんは、さまざまな年齢で発症する可能性があります。子どもの場合は「小児科」、大人の場合は「脳神経内科」「脳神経外科」「精神科」で診てもらえます。(※2)

かかりつけ医がいる場合は、まずはかかりつけ医に相談してみるのが良いでしょう。その後、適切な病院につないでもらうと安心です。(※3)

てんかんは、可能であれば、てんかん専門医に診察してもらうのが理想です。てんかんの症状は多様かつ、長期にわたるため、診療や治療には豊富な知識や経験が必要とされています。より専門的な視点で診てもらうことで、スムーズな治療が行える可能性があります。(※4)

てんかん専門医は、全国に存在します。また、全国各地に、「てんかんセンター」が配置されています。てんかんケアセンターは、医学的なアプローチにとどまらず、必要に応じて日常生活や介護福祉の分野に至るまで、包括的にてんかん患者をケアするための施設です。(※5)

事情により、専門医や専門施設への定期的な通院が難しい場合は、日常的な診療は主治医、年に数回は専門医など、通院の方法を工夫できないか相談してみると良いでしょう。

てんかんを精神科で診てもらえるのはなぜ?

 


てんかんは、かつて、「統合失調症」と「躁うつ病」と共に、三大精神疾患として捉えられている時代がありました。とある医学者が異論を提唱し、さらに後年、脳波の記録技術が進歩したことで、てんかんが神経細胞に過剰な電気信号が走ることによる疾患だと分かったのです。(※6)

また、てんかんの患者は、全員ではないものの精神症状を併発しやすいことが分かっています。発作が関係するもの、治療によるもの、ストレスや不安による心理的なものなど、要因はさまざまです。(※7)

上記のように、てんかんと精神科は結びつきが深く、てんかんの治療を行っている精神科は少なからず存在します。

てんかんで受診した際の流れ


次に、てんかんで病院を受診した際に、診断にあたってどのようなことが行われるのかを解説します。細かな流れは病院によって異なるため、ここでは一般的な流れをご紹介します。

問診

問診では、どのような症状があったのかが聞かれます。発作のタイミングや当時の状況、けいれんの有無や継続時間など、詳しく伝えられるのが理想です。本人がよく覚えていないこともあるため、周囲の人は、携帯電話やスマートフォンなどで発作の様子を撮影しておくと、診断の際の判断材料として役立ちます。

病歴についても、可能な範囲で把握しておきましょう。家族や親族のてんかん歴や熱性けいれん歴のほか、てんかん患者の母親の妊娠中の経過や分娩状態、本人の発達の様子や感染症の罹患歴、事故の有無など、多くの事柄が診断の助けになる可能性があります。(※8)受診時に答えられるよう、可能な範囲で準備をしておくと良いでしょう。

検査

検査が必要な場合は、脳波やMRIをとるのが基本です。脳波検査によって、電流の形や出方を捉えます。てんかんの場合でも、脳波異常が出ない場合があるため、繰り返し検査をすることも考えられます。

MRIは、てんかんが起こる場所や状態を調べるために用いられます。腫瘍がある場合は、取り除くことで、てんかんが治る場合もあるようです。(※9)

治療

てんかんの診断がついたら、治療に入っていきます。てんかんの治療方法は、大きく3つ。抗てんかん薬を用いた薬物治療、手術などの外科的治療、食事療法です。

てんかん患者の約8割は、適切な服薬によっててんかん発作を抑えられるといわれています。発作の症状だけでなく、持病への影響やほかの薬との飲み合わせなど、さまざまな点を考慮して、薬が決定されます。医師の指示に従って、正しく服用することが重要です。

手術や食事療法は、薬によって発作が抑えられない場合に検討されます。(※10)

改めて「てんかん」とは


最後に、改めて、てんかんについて解説します。

てんかんとは、乳幼児から高齢者まで、幅広い年齢の人が発症する可能性のある脳の疾患です。脳の神経細胞に異常な電流が流れることにより、てんかん発作が起こります。そのてんかん発作を繰り返し発症するのがてんかんです。特に、小児と高齢者で発症率が高くなる傾向にあります。(※11)

冒頭でも触れた通り、日本国内での有病率は、諸説ありながらも約100万人に1人。発作の症状は多岐にわたり、なかには、一生に一度程度しか発作が起こらないケースも存在します。そのような人を含めると、もっと多くの人がてんかんを持っていると考えられています。(※12)また、近年は、高齢者の発症が増えており、認知症と間違われるケースも増えています。(※13)

てんかん発作にはどんな症状がある?

てんかん発作としては、「突然意識を失って倒れる」というイメージが先行しています。しかし、てんかん患者の誰もが同様の発作を起こすわけではありません。

てんかん発作の症状は人それぞれですが、よく挙げられるのは以下です。

・意識を失って倒れる
・手足の曲げ伸ばしを繰り返す
・一点を見つめてぼーっとする
・周囲が呼びかけても返事をしない
・口をもぐもぐさせる
・手足が部分的にけいれんする

てんかん発作には、意識消失がないケースも存在します。一見すると「ぼーっとしているだけ」「集中力がない特質」などと感じられる場合もあり、周囲にとっては理解しにくいことも多々あるでしょう。しかし、ちょっとでも違和感を感じたり、いつもと様子が違ったりした場合は、早めに病院を受診するようにしてください。

また、基本的には、てんかん発作は数分で落ち着きます。5分経っても発作が治まらない場合は、救急車の要請が必要です。(※14)万が一のために、ポイントとして押さえておきましょう。

まとめ


本記事では、てんかんを疑う場合、病院の何科を受診したらいいのかをご紹介しました。「てんかんかも?」と違和感を感じたら、かかりつけ医、もしくは、「脳神経内科」「脳神経外科」「精神科」のいずれかを受診しましょう。子どもの場合は、「小児科」で診てもらえます。

てんかん発作の症状は多岐にわたり、出現頻度も人それぞれです。場合によっては、見落としてしまい、治療が遅れてしまう可能性も考えられます。少しでも違和感を感じたり、体調に変化を感じたりした場合は、自己判断で済ませずに、病院に相談するようにしてください。

 

【参照】
※1 第23回「てんかん重積」とは?|NCNP病院 国立精神・神経医療研究センター
※2 脳神経内科の主な病気 てんかん|一般社団法人 日本神経学会
※3 「てんかんかも」と思ったら|てんかんinfo
※4 てんかんはどの診療科で治療してもらえますか?|てんかんinfo
※5 てんかんセンターとは?|全国てんかんセンター協議会
※6 てんかんを持つ人のこころの健康を考える|岡山大学病院精神科 松本洋輔
※7 てんかんに伴う精神症状について|大阪大学医学部附属病院 てんかんセンター
※8 てんかんセンター|医療法人社団浅ノ川 浅ノ川総合病院
※9 てんかんの診断手順|てんかんinfo

※10・12 てんかんとその診療について|東京都てんかん支援拠点病院
※11 てんかん対策|厚生労働省
※13 それって認知症?「てんかん」かも!?|国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター
※14 発作がおきたら|epiサポ

この記事を監修した人

CBD JAPAN 編集部

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