フランスの大麻最新事情|規制とは裏腹?衝撃の大麻使用率
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2021年9月3日

フランスの大麻最新事情|規制とは裏腹?衝撃の大麻使用率

フランスといえば、美しい芸術や美味な料理のイメージが強い国です。そして、日本と同じく大麻を違法としていることでも有名です。
しかし、その法規制とは裏腹に、欧州では最大の麻薬常用率を示していることをご存じでしょうか。
今回は、そんなフランスの大麻最新事情を解説していきます。

ヨーロッパ最大級の麻薬消費国

ヨーロッパ最大級の麻薬消費国フランス

フランスでは大麻の使用者に対して罰金刑を課しており、発見され次第その場で150~200ユーロ(約2万円)が徴収されることになります。

しかし、そういった法規制が設けられていながら、実際の常用者は減少の兆しを見せていないとされており、現在に至っても推定される規模は決して小さくありません。

したがって、芸術と美食のイメージだけを抱いて旅行に出向いた方の中には、散歩中に大麻の香りが漂う街の日常に、ショックを受けるということも決して少なくない現状となっています。

そして、場合によっては現地の売人ですらない一般人から分け与えてもらうということもあり得るでしょう。

そういった場合に忘れてはいけないのは、フランスは大麻が合法ではないという事実であり、当然日本人であっても例外ではないことから、現地へ赴く際は徹底した危機管理が必要とされています。

■大麻が吸える国はどこ?合法なら日本人も便乗OK?■

フランスにおける大麻の歴史を知る

フランスにおける大麻事情とその歴史

ここではまず、フランスにおける大麻の歴史を見ていきましょう。

実際のところ、現地では旅行者であっても簡単に入手することが可能です。

しかし、違法性のある物品に指定されているため、決して手をだしてはいけません。

ナポレオンの時代にまで遡る

代表的な起源とされるのは、1798年のナポレオンによるエジプト侵攻の時とされています。

当時エジプトはイスラムの影響を強く受けていたため、戦闘の気持ちを和らげるアルコールを手に入れることが難しい状況でした。

そこで指揮官であったナポレオン卿は、軍隊に対して大麻を支給したのです。

実際のところ、そういった状況における麻薬の使用は、隊員の精神的な負荷を和らげる有効な手段としてだけでなく、鎮痛剤としても活用されており、他国においても決して珍しいことではありませんでした。

文学界への流入

エジプト侵攻から間もない1800年代、大麻はヨーロッパにおける文学の世界でも活用されることとなり、Club des Hashischins(ハシッシュクラブ)という麻薬専用のクラブがパリに誕生しました。

その中にはビクター・ユーゴ―やオノレ・ド・バルザックといった著名人も数多く含まれており、文学活動においては欠かせない嗜好品として更に拡大していったのです。

医療用大麻としての普及

そして時代は1900年代に突入し、53年には医療用を含む大麻を全面的に禁止するに至りました。

しかし、そこから99年に一転、医療用大麻が解禁されることとなり、現在の形に辿り着いています。

ちなみにフランスの医療現場では、その他の処方に効果が見られなかった場合にだけ使用可能であり、当然個人での吸引、売買、栽培は依然として禁止されていることは押さえておきましょう。

■大麻禁止の本当の理由|違法薬物となった歴史的経緯に隠された真実■

現在のフランスにおける大麻とは

現在のフランスにおける大麻事情

ここからは、フランスにおける大麻の最新事情について解説していきます。

パリといえば世界でも有数の人気観光地でもあるため、今後赴く予定がある方は、是非参考にして下さい。

大麻の消費率

過去、フランスで実施された大麻使用調査では、15~64歳の1340万人のうち10%に近い120万人が常用を認めています。

また、欧州全体の月間消費量においては4位に、そして大麻の使用経験者数は2位になったこともありました。

当然その中には黙秘、あるいは虚偽申告している人物も一定数いることが予想されており、実際のところは更に大規模である可能性もあるでしょう。

したがって、普段出かけるお店の20代前半ほどの店員が、休憩中に大麻を嗜む光景も全く珍しいものではないとされています。

罰則が緩和された2018年

実は2017年より以前は大麻使用者に対して1年以上の禁固刑が科せられており、その常用者の数によって警察機関の負担は多大なものとなっていました。

そこでフランス政府は大麻の罰則を簡素化、2018年には約2万ユーロの罰金刑のみとなっています。

一方、再犯者や大麻の売人に対しては刑事訴求の可能性もあることから、決して合法化されたわけではなく、現在の状況は本来目指すところではないといえるでしょう。

ちなみにこの動きは、マクロン大統領のマニフェストでもあり、犯罪行為に対して寛容とも思える姿勢を批判する声も散見されています。

違法性のある常用が一転して経済効果も

ここまで解説した通り、フランスでは大麻を違法としていながら、国民にとっては実質的な嗜好品として認知されています。

これはまさに政府の方針と国民の意見が合致していない状態ともいえる一方で、仮に大麻を合法化した場合の経済効果は毎年20億ユーロ以上とされており、フランス国家にとっては野放しになっていた莫大な財源を自らの管理下に収めることが可能となります。

そしてその兆しとして話題になったのが、大麻成分(CBD)を含むワイン「Burdi W」です。

現在のフランスでは、10~20代の約4割程度が大麻を服用したことがありながら、同じく代表的な嗜好品であるワイン離れの深刻化が問題視されています。

そこで、そういった世代への「効率的な」アプローチのために、リラックス効果を持った新世代の製品として満を持して開発されたのです。

また、2021年3月に実施された世論調査では、実に80%以上が合法化に賛同していることからも、フランスでは国民の意見と実際の需要に後押しされる形で、徐々に完全合法化の兆しが観測されています。

全てがプラスに作用しているわけではない

ここまで解説した通り、大麻が与える経済効果は決して小さくないことから、一見すると合法化に関するデメリットは少ないようにも思えてしまいます。

しかし、そこはやはり違法薬物ということを忘れてはいけません。

フランスでは大麻だけでなく、その他危険なドラッグの消費率に関しても高いことから、その裏に潜む売人の形態も日本とは全く異なっています。

たとえば、2021年5月に起きたアヴィニョンの発砲事件では、武装した売人によって警察官が射殺されるという凄惨な事態に発展しており、組織的な麻薬売買とそれに伴う売人達の武装化が問題視されています。

したがって、大麻合法化に至るまでの道のりは決して容易なものではなく、厳格な法規制と徹底的な流通管理形態が必要といえるでしょう。

■WHOの大麻・CBDへの見解|医薬的価値の見直しのきっかけになるか■

フランスにおける大麻は実質的な嗜好品

厳しい法律とは裏腹のフランス大麻事情

フランスは日本と同じように大麻を違法薬物に指定しており、違反者には罰金刑、再犯者に対しては懲役を伴う刑事訴求がされることになります。

しかし、現在の実情はそういった厳しい法規制とは裏腹なものとなっており、若者は街中で大麻を嗜み、公園ではピクニックのサンドイッチと一緒に吸引している光景も散見されているようです。

ただし、そういった形骸化している大麻の取り締まりは日本も例外ではなく、ほんの20年ほど前は公園で売人がジョイントを売りさばき、クラブといえば売買のプラットフォームであった事実があります。

したがって、フランスにおいても今後の動向次第では日常から大麻が消える可能性もゼロではないといえるでしょう。

一方、合法化した際の経済効果は莫大な規模であることから、その財源を政府がどのように取り扱うかも注目ポイントです。

いずれにしても、もし旅行に行く際は決して手をださない心掛けと、麻薬犯罪に巻き込まれないようにする危機管理が必要といえるでしょう。

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