フランスでの大麻合法化の行方~現状と将来予測~
学ぶ
2024年2月1日

フランスでの大麻合法化の行方~現状と将来予測~

フランスにおける大麻の法的地位は、厳格な規制が敷かれています。

医療用途を除いて大麻の所持や使用は禁止され、公共の場での使用についても厳しい制限が設けられています。ここでは、フランスの大麻に関する法規制について詳しく見ていきましょう。

1. フランスにおける大麻の法的地位

 

 

フランスの法律における大麻の定義と規制

フランスでは、大麻に関する法律は厳格に規定されています。

大麻は植物や樹脂、THC成分のある製品を指し、その栽培、製造、輸送、輸入、輸出、所有、提供、譲渡、取得、および使用が禁止されています(フランス公衆衛生法(PHC)第R.5132-86条)。
ただし、この法律は医療目的の大麻には適用されません。2022年3月1日以降、医薬品・保健製品安全庁(ANSM)によって認可された施設は、医療用途での大麻の栽培・生産を許可されています。したがって、事実上、医療用大麻は合法とされています。

2. 大麻の所持・使用・譲渡に関する法律

 

大麻所持と使用に関する法規

フランスでは大麻の所持や使用に関する法規が厳しく定められています。

一般的な大麻の所持や使用は禁止されており、これに違反すると罰則が科されます。
以前は、フランスの法律(L3421-1)によって大麻の所持や使用は重罪とされ、3,750ユーロの罰金や最大1年の実刑判決が下されることがありました。特に、公務員や輸送手段の責任者が関与した場合は、より厳しい罰則が課されました。
しかし、2020年9月1日に法改正が行われ、50g以上の大麻所持で捕まった場合には、200ユーロの罰金制度が導入されました。この制度では、15日以内に支払えば150ユーロ、45日以降に支払えば450ユーロの罰金が科されます。

したがって、大麻所持で捕まった場合、警告や罰金を受けるだけで、重罪化される可能性は低くなりました。
フランスでは大麻の使用が広まっており、国民の間で大麻を使用する人々が増加しています。その一方で、大麻の所持や使用に関する法律は厳格であり、違反すれば罰則が科されることに変わりはありません。

3. 医療用大麻の合法化と現状

医療用大麻プログラムの概要

2022年3月1日、フランスでは医療用大麻の合法化が実施されました。

これは、慢性疼痛やてんかんなどの重篤な医療上の健康問題に苦しむ患者たちに対する新たな治療法の導入を意味しています。
医療用大麻プログラムは、医薬品・保健製品安全庁(ANSM)の監督下で実施されています。このプログラムには、さまざまな症状を抱える患者が参加しており、その中には慢性疼痛やてんかん、がんなどの症状を抱える患者が含まれています。
医療用大麻プログラムでは、専門の医療専門家によって処方される医薬品が使用されます。

これには、Sativex、Epidyolex、Marinolなどが含まれています。これらの医薬品は、特定の病状や症状に対する効果が確認された上で処方されます。
ただし、医療用大麻の処方は一般的な医師によって行われるわけではありません。特定の「5つの適応症」に該当する患者に対して、医療専門家が処方を行います。

これらの適応症には、神経因性疼痛、てんかん、がんの症状、疼痛、食欲不振、吐き気、睡眠障害などが含まれます。
医療用大麻プログラムの実施にはまだ課題が残っており、患者がスムーズに医療用大麻を受け取れる体制が整っていない状況が続いています。しかし、フランス政府はこれらの課題に取り組み、医療用大麻の合法化を進める方針を示しています。

4. 大麻の個人栽培に関する法規

大麻の個人栽培に対する法的制限

フランスにおいて、個人が大麻を栽培することは法律で禁止されています。

これは、大麻を個人的な使用や医療目的のために栽培している場合でも適用されます。
大麻の個人栽培に関する法規は厳格であり、違反した場合は重い罰則が科されます。

大麻の個人栽培で捕まった場合、懲役刑や罰金刑が科される可能性があります。例えば、10年以上の懲役や750万ユーロ以下の罰金が科されることがあります。

フランスの法律では、大麻の個人栽培について特別な例外は設けられていません。つまり、個人が栽培した大麻を医療目的で使用する場合でも、法的な罰則の対象となります。

ただし、実際に大麻の個人栽培によって逮捕されるケースは少なく、重い刑罰が科されるのは大規模な栽培や商業目的で大麻を栽培している場合がほとんどです。一般的な個人が自宅で少量の大麻を栽培しているだけでは、刑事責任を問われることはまれです。

5. 大麻使用下での運転に関する法規

大麻使用下の運転に対する罰則

フランスでは、大麻を使用した状態での運転や、他の麻薬を使用した状態での運転は違法です。

大麻使用下の運転は、公共の安全を脅かす危険行為と見なされ、厳しい罰則が規定されています。

大麻使用下の運転で逮捕された場合、以下のような罰則が科されます。
・4500ユーロの罰金
・3年間の運転免許停止
・最長2年の懲役

このような厳しい罰則が設けられているのは、大麻の使用が運転能力や判断力に深刻な影響を与え、交通事故のリスクを高めるためです。医療用大麻を使用している患者も、運転中の大麻使用は違法とされ、罰則の対象となります。

フランスの法執行機関は、大麻使用下の運転を取り締まるために定期的なパトロールや検問を実施しています。また、違反者には厳格な罰則が適用されることが一般的です。これは、安全な道路環境を確保し、交通事故の発生を防ぐための取り組みの一環です。

6. 公共の場での大麻使用に関する法規

公共の場での大麻使用の規制

フランスでは、公共の場での大麻の使用が厳しく規制されています。大麻の使用は、一般の人々や周囲の環境に悪影響を及ぼす可能性があるため、公共の場での使用は法的に禁止されています。

公共の場での大麻使用に関する規制は、以下のようなものがあります。

公共施設や公共交通機関での使用禁止

公共の施設や公共交通機関、公共の車両内での大麻の使用は厳しく禁止されています。これには、公園、道路、歩道、駅、バス、電車などが含まれます。

学校や教育機関での禁止

学校やその周辺、教育機関内での大麻使用も法的に禁止されています。これは、未成年者や学生への健康への悪影響を最小限に抑えるための措置です。

公共のイベントや催し物での禁止

大麻の使用は、公共のイベントや催し物、フェスティバルなどの集会場所でも禁止されています。これは、大勢の人々が集まる場所での安全を確保するための措置です。

公共の場での大麻使用に対する厳しい規制は、社会全体の安全や秩序を維持するための重要な措置の一部です。これによって、一般の人々や社会の利益が保護され、大麻使用が公共の場で問題を引き起こす可能性が低減されます。

まとめ

フランスでは、大麻の法的地位が厳しく定められています。大麻の所持や使用については法的に禁止されており、公共の場での使用に関する規制も厳しく実施されています。

これらの措置は、社会の安全や秩序を維持するために重要な役割を果たしていると言えるでしょう。

この記事を監修した人

CBD JAPAN 編集部

CBD JAPANは2021年10月に設立された企業で、「心身の本来の力を引き出し、健康で明るい社会を作る」というミッションを掲げています。コラムは全て下記の監修者のもとで、コンテンツ制作ポリシーに従い制作しております。

おすすめ商品一覧