てんかんの方が障害者手帳を取得するデメリットはある?メリットや認定基準も解説
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2024年6月25日

てんかんの方が障害者手帳を取得するデメリットはある?メリットや認定基準も解説

てんかんとは脳神経細胞の電気的興奮により、意識を失って反応しなくなる、けいれんするといった発作が繰り返し起こる病気です。(※1)

てんかんの方の中には、障害者手帳の取得について検討している方もいらっしゃるはずです。その際、取得により得られるメリットはもちろん「不都合なことが起こるのではないか?」と、デメリットについて気になる方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、てんかんの方が障害者手帳を取得するメリット・デメリットを紹介します。またそもそもてんかんの方は障害者手帳を取得できるのか、できる場合どんな認定基準があるのかといった基礎的な事項についても解説します。

てんかんの方は障害者手帳を取得できる?


てんかんの方は障害者手帳を取得できる可能性があります。

障害者手帳には「身体障害者手帳」「療育手帳」「精神障害者保健福祉手帳」の3種類があり、このうちてんかんの方が対象となるのは「精神障害者保健福祉手帳」です。

てんかんは精神疾患ではありませんが、日本の制度上では精神の病気の一つとして対応されているからです。

種類 障害区分
身体障害者手帳 視覚障害、聴覚障害、言語障害、肢体不自由、心臓機能障害、腎臓機能障害などの身体障害
療育手帳 知的障害
精神障害者保健福祉手帳 統合失調症、気分障害、非定型精神病、てんかん、発達障害などの精神障害

ただし精神障害者保健福祉手帳は、希望すれば必ず取得できるというものではありません。

そもそも精神障害者保健福祉手帳は、所有者が一定程度の精神障害の状態にあることを認定するものです。そのため取得には審査があり、審査において取得条件を満たす状態であると判断されなければ交付されません。(※2)

てんかんの方の障害者手帳認定基準は?


てんかんの方が対象となる精神障害者保健福祉手帳には「精神科の病気(てんかん含む)により長期にわたって日常生活や社会生活に支障がある人」かつ「初診日(病院に初めてかかった日)から6カ月以上経過している人」という認定基準があります。

また「発作のタイプ」や「発作の頻度」などを考慮して3つの等級に分けられます。発作のタイプとは以下の4つです。

A 意識障害が起こり、状況にそぐわない行為を示す発作
B 転倒する発作(意識障害の有無は問わない)
C 意識を失い、行為が停止するが倒れない発作
D 意識がはっきりしているが、自分が思ったような動きができなくなる発作

上記の発作のタイプと頻度を合わせて、等級が考慮されます。

等級 発作のタイプと頻度
1級程度 タイプAまたはBの発作が月1回以上
2級程度 タイプAまたはBの発作が年2回以上

タイプCまたはDの発作が月1回以上

3級程度 タイプAまたはBの発作が年2回未満

タイプCまたはDの発作が月1回未満

等級によって受けられるサービスが変わってくるので、自分がどの等級に当てはまるかは重要なポイントです。(※3、4)

てんかんの方が障害者手帳を取得するメリットは? 


精神障害者保健福祉手帳を取得すると、さまざまな支援サービスや税金面での優遇などが受けられます。

就労支援サービスを活用できる

就労支援サービスを活用できるようになることは、精神障害者保健福祉手帳を取得する大きなメリットです。具体的には「障害者雇用枠での就職」や「障害者向け就労サービスの利用」が挙げられます。

障害者雇用枠とは、障害のある方一人一人が特性に合った働き方をできるよう、一般雇用とは別に設けられた特別な雇用枠です。障害を考慮した求人となるため、労働条件や環境の整備など合理的配慮を受けやすくなります。

障害者向け就労サービスとは、障害のある方が就労するにあたって抱く不安や悩みに対して、相談対応や支援をしてくれるサービスのことです。主に以下のような機関で受けられます。

機関 機関・サービス概要
ハローワーク 厚生労働省が全国に設置する公共職業安定所。障害のある方に向けて専用窓口を設置し、就活支援を行っている。
就労移行支援事務所 一般就労を目指す障害のある方に向けて、就業に必要な知識・技術を教える(職業訓練)。就職活動の支援はもちろん、就職後の相談などにも応じる。
障害者就業・生活支援センター(通称:中ぽつ、就ぽつ) 障害のある方の身近な地域において、就業面や生活面の支援を行う。仕事だけでなく日々の困りごとについても相談対応する。
地域障害者職業センター 各都道府県に設置され、障害のある方が就業に必要な専門的訓練(職業リハビリテーション)を行う。

なお障害者雇用枠、障害者向け就労サービスは、どちらも手帳の等級に関わらず利用できます。(※4、5、6、7、8、9、20)

税金の控除が受けられる 

精神障害者保健福祉手帳の取得者は、税金面で優遇されます。

税金の種類により等級に関わらず優遇されるものと、等級により優遇の有無や条件が違うものがあるため、利用を検討する場合はお住まいの市区町村に詳細を確認してみてください。

税金の種類 優遇内容 1級 2級 3級
所得税 控除
贈与税 控除
相続税 控除
住民税 控除
預金利子所得 非課税
自動車税、自動車取得税、軽自動車税 減免 × ×

日常生活でサービスが受けられる

精神障害者保健福祉手帳を取得すると、日常生活においてもさまざまなサービスを受けられます。以下はそのサービスの一例です。

なおサービスによっては等級によりサービスを受けられないこともあるため、事前にお住まいの市区町村、各施設や企業に詳細を確認してみましょう。

サービス サービス内容 1級 2級 3級
携帯電話

基本使用料

割引
公立施設

利用料・入場料

割引(免除の場合もあり)
生活保護

保護費

加算 ×

てんかんの方が障害者手帳を取得するデメリットは?


てんかんの方が精神障害者保健福祉手帳を取得することにより、賃金、教育機会、福利厚生などの面において不利になることはありません。

障害のある、ないに関わらず、これらの機会を均等に与えることが法律により義務付けられているからです。

ただし障害のある方自身が、主に気持ちの面において取得によりデメリットを感じることはあり得ます。これらの可能性についてもよく考慮し、納得の上で取得申請することが大切です。(※10、11、12)

「障害者」を意識してネガティブになる可能性がある

精神障害者保健福祉手帳を所持していることで、自分に障害があることを意識してネガティブになってしまうという方もいます。

確かに障害を認めることは、容易なことではないかもしれません。

しかし病気や事故などで障害を持つ可能性は、誰にでもあることです。また手帳を保有していることを周囲に告知する義務はないため、自分の障害を知られず過ごすこともできます。

取得を検討する際にはネガティブな感情にとらわれすぎず、メリットにもしっかりと目を向けることが大切です。

職場で一部の人に知られる可能性がある

精神障害者保健福祉手帳を所持していることは、基本的には職場の人には知られません。

ただし手帳の取得により住民税の控除を受けている場合は、給与を扱う部署など一部の職員には知られてしまう可能性があります。

しかし社員のプライバシーを他の社員に漏らすことは、個人情報保護の観点から許されることではありません。

コンプライアンス意識のある職場であれば、社内に知れ渡ることはまずないため、心配しなくても大丈夫でしょう。

申請や更新手続きに手間がかかる

精神障害者保健福祉手帳の取得申請には、申請書や医師による診断書、本人写真などの提出が必要です。また手帳の有効期限は2年となっており、2年ごとに更新手続きが必要になります。

これらの手続きに手間がかかることは理解しておきましょう。

てんかんの方が障害者手帳を取得する方法


てんかんの方は、医療機関の初診日から6カ月以上経過している場合、精神障害者保健福祉手帳の取得申請が可能です。申請はお住まいの市区町村の担当窓口で行います。

申請の際に必要なものは以下の通りです。

  • 障害者手帳申請書(マイナンバーの記載が必要)
  • 医師による診断書(または精神障害を理由として障害年金を受給している場合は、その証明書の写し)
  • 本人写真
  • マイナンバーの分かる書類(個人番号カードや通知カードなど)
  • 印鑑

障害者手帳申請書は市区町村の担当窓口でもらえます。また医師による診断書はかかりつけの病院で書いてもらう必要があります。申請前に市区町村の担当窓口や病院に行く手間がかかることは理解しておきましょう。

精神障害者保健福祉手帳は申請から審査を経て交付されるまで、1〜2カ月程度の時間を要します。そのため余裕を持ったスケジュールで準備、申請していくことが大切です。

また手帳の有効期限は、交付日から2年経過した日の属する月末日までとなっており、2年ごとに更新手続きも必要になります。更新時に必要な書類は申請時とほぼ同じで、新しい手帳が届くまでに2カ月程度かかります。(※12、13、14、15、16)

よくある質問


精神障害者保健福祉手帳やてんかんに関するよくある質問にお答えします。
(※15、17、18、19)

申請書の提出は代理人でもできる?

精神障害者保健福祉手帳の申請書は、家族や医療機関の関係者などが代理人として提出することも可能です。

の際、厚生労働省によると委任状は不要とのことですが、市区町村によっては提出を求められることもあるため、事前の確認をおすすめします。

障害者手帳の取得者は自動で障害年金も取得できる?

精神障害者保健福祉手帳を所持しているからといって、自動的に障害年金が取得できるわけではありません。別途、障害年金の判定手続きが必要になります。

障害者手帳を紛失や破損したときはどうする?

精神障害者保健福祉手帳を紛失、破損した際は、市区町村の担当窓口で再交付申請をしてください。また紛失や盗難の場合は、警察への紛失届も忘れず出すようにしましょう。

てんかんがあっても保険に入れる?

生命保険や医療保険の中には、てんかんのある方が加入できないものがあります。また加入できる場合も条件が厳しく、保険料や保証範囲などに制限があるものも少なくありません。

公益社団法人日本てんかん協会では、てんかんの方向けの保険を教えてくれます。必要に応じて相談してみると良いでしょう。

まとめ


てんかんの方が精神障害者保健福祉手帳を取得することにより、賃金、教育機会、福利厚生などの面で不利になることはありません。

ただし自分が障害者であることを意識してネガティブになるなど、気持ちの面でデメリットになる可能性はあります。

てんかんは病気の一つであり、本来恥じるものではありません。デメリットばかりにとらわれすぎず、メリットにも目を向けて、手帳を取得するか検討していきましょう。

参照:

※1.てんかん|日吉台病院

※2.障害者手帳|厚生労働省

※3.てんかんのある人が利用できる福祉制度3つのサポート|国立精神・神経医療研究センター病院 精神科 渡辺裕貴

※4.精神障害者保健福祉手帳を活用していますか?|日本てんかん協会

※5.就業移行支援事業|厚生労働省

※6.地域障害者職業センター|独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構

※7.障害者と税|国税庁

※8.障害者の方等が使用する自動車に対する減免

※9.障害者:相続税・贈与税|柏市

※10.障害者に対する差別の禁止に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針|厚生労働省

※11.精神障害者保健福祉手帳制度実施要領について|厚生労働省

※12.障害者保健福祉手帳を取得するメリット・デメリット|大阪メンタルクリニック

 ※13.障害者保健福祉手帳の交付申請手続きなどについて|水戸市

※14.【都民の皆様へ】精神障害者保健福祉手帳の申請手続き|東京都立中部総合精神保健福祉センター

※15.よくある問い合わせ|会津若松市

※16.精神障害者保健福祉手帳|東京都福祉局

※17.精神障害者保健福祉手帳の実施要領についての疑義紹介について|厚生労働省

※18.よくある質問|京都市

※19.てんかんがあっても入れる生命保険や医療保険はありますか?|静岡てんかん・神経医療センター

※20.障害のある皆様へ|厚生労働省

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