【てんかん発作の対処法】発作時にしてはいけないことや、日常生活での注意点
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2024年6月24日

【てんかん発作の対処法】発作時にしてはいけないことや、日常生活での注意点

突然起こるてんかん発作。日常的に発作の介助を行っている人がいる一方で、一度も発作を目の当たりにしたことがない人も多数いるでしょう。

本記事では、てんかん発作に遭遇した際に周囲がしてはいけないことや、介助において大切なポイントを解説します。てんかんの人は一定数存在し、決してめずらしくはありません。自身や身近な人、目の前の誰かが発作で倒れたときにスムーズに対応するためにも、手順を把握しておくことが大切です。

また、てんかんのある人が日常生活を送るうえでの注意点についてもまとめています。

てんかんとは


てんかんとは、てんかん発作を繰り返し起こす状態のことです。脳の神経細胞に過剰な電気信号が流れ、神経系が突発的に活動することにより症状が出現します。

厚生労働省のデータによると、てんかんのある人は1000人に5〜8人程度。日本全体では60万〜100万人だといわれています。乳幼児から高齢者まで、さまざまな年齢で発症する可能性があり、誰にでも起こり得る病気です。(※1)

てんかんは原因別に、「特発性てんかん」と「症候性てんかん」に分けられています。特発性てんかんは、はっきりとした原因が見つからないてんかんのこと。一方で、症候性てんかんは、脳出血や事故による脳外傷、出生時の仮死状態などにより、脳に何らかの疾患がある場合のてんかんを指しています。(※2)

てんかんの発作の種類はさまざま

てんかん発作は、大きく「部分発作」と「全般発作」に分けられています。「部分発作」は、脳の特定の部位から始まる発作のこと。「全般発作」では、脳の広範囲に過剰な電気信号が流れるのが特徴です。てんかん発作の種類は、意識障害の有無や発作時の症状などによって、さらに細かく分類されています。(※3)

発作が起きたときの症状は、さまざまです。例えば、意識がある状態の発作では、体の一部がけいれんしたり、幻覚や幻聴、頭痛や吐き気などが挙げられます。意識がない状態の発作は、突然意識を失い倒れたり、全身が硬直してガクガクと震えたり、フラフラと歩き回ったりなどです。いずれの場合も、発作は数分以内におさまることが多いとされています。(※4)

てんかん発作に遭遇したときの介助のポイント


てんかんの原因を完全に取り除くことは難しいとされていますが、てんかんのある人の多くは、抗てんかん薬や治療によって発作をコントロールしながら日常生活を送っています。とはいっても、日常生活において、目の前の人がてんかん発作を起こす可能性はゼロではありません。

以下では、突然のてんかん発作に遭遇したときの介助のポイントを解説します。「してはいけないこと」と「対応したほうが良いこと」の2つに分けてまとめているので、頭に入れておくとスムーズです。

発作中に周囲がしてはいけないこと

てんかん発作のときには、むやみに介助をしたほうが良いわけではなく、してはいけないことが存在します。よかれと思ってとった行動が、かえってマイナスに働くことも。以下の5つのポイントを押さえておきましょう。(※5・6・7)

口の中にものを入れる

てんかん発作時に、口の中にものを入れるのは、危険です。発作のときの食いしばりは仕方がないものです。舌を噛まないためにとタオルを入れたり、食べ物を取り出そうと指やスプーンを無理に突っ込んだりすると、窒息やケガ、嘔吐につながります。

水や薬を飲ませる

上記と同様の理由から、発作中に水や薬を飲ませるのも、してはいけないことの一つです。また、発作後、意識がはっきりしていないときも水や薬の摂取は控えましょう。

体を揺さぶる・押さえつける

発作は、何かをしたからといって、止まるものではありません。揺さぶったり、押さえつけたりすると、無意識の状態の人から抵抗にあう可能性も考えられます。そっと観察する程度にとどめましょう。

大声で騒ぐ

大声で名前を呼んだり、騒ぎ立てたりしても、発作は止まりません。発作が数分で自然に止まるまで過度に干渉せず、落ち着いて対応するようにしてください。

てんかん発作中に周囲が対応したほうが良いこと

てんかんの発作自体が命に関わることは少ないものの、発作が起きた状況次第では、早急な助けが必要な場合もあります。また、ケースによっては医師による処置が必要な場合も。咄嗟のことに対応するためにも、以下のポイントを把握しておきましょう。(※5・7・8)

安全を確保する

まずは、安全を確保することが大切です。発作は突然、どんな場所でも起こり得ます。意識を失って、突然転倒した場合は、身をかばうことができません。道路を歩行中、入浴中、火を使った調理中など、シチュエーションに応じて適切な対応をとりましょう。危険な場所から遠ざけることを優先してください。

てんかん発作を目の当たりにするのが初めての場合は、突然のことに焦ってしまうのが当たり前です。必要に応じて周囲の人に助けを求め、複数人で対応するのが理想です。

衣服を緩める

衣類がきつい場合は、必要に応じて緩めましょう。襟やボタン、ベルトなどをはずし、呼吸がスムーズな体勢に整えることが大切です。メガネやヘアピンを着けている場合は、安全のためにはずすようにしてください。

横向きに寝かせる

発作が落ち着いたら、体を横に向けて寝かせましょう。発作中や発作後に嘔吐をする可能性も考えられます。吐瀉物による窒息を防ぐためにも有効です。

様子を観察する

発作時の様子が分かると、診断や治療の際に役立ちます。てんかんのある本人が、発作時の状態を把握するのは難しいものです。介助者の情報が貴重な判断材料になります。

発作が起こったときの状態や時間、意識の有無を観察しておきましょう。近年は、発作の様子をスマホの動画機能で撮影することが有効だとされています。

5分を目安に救急車の判断をする

てんかん発作に遭遇したからといって、絶対に救急車を呼ばなければいけないわけではありません。基本的には、発作は数分でおさまります。まずは、発作の状態をよく観察しましょう。

5分が経過しても発作がおさまらない場合や、発作を繰り返している場合、対応が不安な場合は、救急車を要請します。また、発作時に大きな怪我をしてしまった場合も、治療を急ぐために救急車を呼びましょう。(※9)

てんかん発作を誘発する因子


ここからは、てんかんのある人の日常生活について解説していきます。

てんかん発作は、きっかけなく起こることも多々ありますが、起こりやすい状況があると考えられています。以下では、てんかん発作を誘発するものとしてよく知られている因子をご紹介します。(※3・10・11)

ストレスや疲労

ストレスや疲労は、てんかん発作の誘因として知られています。ストレスや身体的疲労が蓄積されたときに引き起こされるケースが多いようです。また、適度に緊張している際には、発作が起こりにくく、緊張から解放されたときに発作が起こるなど、精神的な状態も関係していると考えられています。

生活リズムの乱れ

睡眠不足も代表的な因子の一つです。前日夜遅くまで起きていた場合に、翌朝発作が起こりやすくなるなどのケースが代表例です。睡眠不足に陥らないために、生活リズムを整えることが大切だと考えられています。

集中を伴う作業

読書やパズル、計算など、集中力を必要とする特定の行為によって、てんかん発作が起こるケースがあるとされています。すべてに対して過敏になる必要はないものの、行為との関連性が特定できている場合は、避けることを考えてみましょう。

特定の刺激

光の点滅や木漏れ日、波打つ様子、縞模様などの刺激によって、発作が誘発される可能性があります。

1997年には、アニメ番組「ポケットモンスター」を視聴していた多数の人にけいれん発作が認められたとして、厚生労働省が研究班を組織したことがありました。健康被害を訴えた人には複数のタイプがあることを前提としたうえで、強い刺激により突発性異常波が誘発されることが示されました。(※12)

体温の上昇

小児期の熱性けいれんに代表されるように、体温が上がることにより、神経が不安定になることが分かっています。現に、体温上昇時にてんかん発作が出現するケースが認められています。発熱に限らず、入浴中や夏場の体温上昇にも注意が必要です。

月経

女性の場合は、月経周期に連動し、生理前後にてんかん発作が増えることが分かっています。ホルモンバランスの変化により、神経を抑制させる作用のあるプロゲステロンが減少することに由来すると考えられています。(※13)

てんかんの人が日常生活を送るうえでの注意点


ここまで解説したてんかん発作を誘発する因子を踏まえ、てんかんのある人が日常生活を送るうえでの注意点をまとめています。発作をコントロールしながら、日常生活を充実させている人も多くいるのが現状です。参考にしてみてください。

規則正しい生活を送る

てんかん発作の因子である睡眠不足や疲労を避けるために、規則正しい生活を送ることが大切です。睡眠不足に陥らないように心がけ、生活リズムを整えましょう。

疲れを溜めない工夫をする

規則正しい生活を送るのにあわせて、疲れを溜めないことを重視してみてください。一つのことに集中しすぎず、こまめに休憩を挟むことが重要です。自己コントロールが発作を抑えるためのカギとなります。

医師の指示通りに服薬する

医師に処方された薬は、指示通りに服薬するようにしましょう。医師に相談せずに、量を増減したり、勝手にやめたりするのは治療の妨げになります。副作用が気になる場合は、必ず医師に相談してください。

入浴時の対策を行う

入浴時にてんかん発作が起きてしまうと危険です。とくに、てんかん発作が頻発しているときには、注意が必要です。溺水状態に陥らないために、シャワーで済ませることも検討しましょう。

子どもの場合は、一緒に入浴するなどの対策が重要。そうでない場合は、必ず家の人に声をかけ、定期的に確認しながら入浴を進めるようにしてください。浴槽のお湯を少なくする、床面にマットを敷くなどの対策も検討しましょう。(※14)

アルコールを摂取しすぎない

アルコールの量にも注意が必要です。アルコールは、脳に作用し、神経の活動を抑制します。アルコールとてんかんの関係性を示す科学的根拠はないものの、飲酒後にてんかん発作を誘発するケースは少なくありません。(※15)必要がある場合を除き、アルコールはできるだけ避けたほうが良いという見解が複数見受けられます。

レジャー時には細心の注意を払う

てんかんがあるからといって、旅行やレジャーを諦めなければいけないわけではありません。しかし、危険が伴うことは避ける必要があります。例えば、発作が起きたことのことを考えて、海水浴や川遊びは避けたほうが良いでしょう。また、ジェットコースターやお化け屋敷など、精神状態を大きく左右するアクティビティも控えたいところです。

一人旅はできるだけ避け、規則正しいリズムで過ごすようにしましょう。事前に医師に相談し、通常通り服薬することも大切です。

てんかんについて、どこで相談したら良い?


てんかんが疑われる症状がある場合は、小児の場合は、小児科や小児神経科で診てもらえます。思春期以降は、神経内科や脳外科、精神科を受診しましょう。また、豊富な経験や知見を有するてんかん専門医への受診を検討してみてください。

症状以外のことに関して、気軽に相談できる相談窓口も存在します。「日本てんかん協会」の専用ダイヤルでは、困りごとや知りたいことなどを専門の相談員に相談できます。てんかんを抱えている人、てんかんのある人を支えている家族などで、悩みを抱えている人は、ぜひチェックしてみてください。

てんかん相談専用ダイヤル(無料)
03-3232-3811
月・水・金曜日 12:00〜17:00

まとめ


本記事では、てんかん発作に遭遇した際にしてはいけないことを中心に、介助のポイントをまとめました。突然の発作を目の当たりにし、パニックになることもあるかもしれませんが、手順を把握しておくことで幾分落ち着けるのではないでしょうか。

また、後半では、てんかんのある人が日常生活を送るうえでの注意点についてもご紹介しています。本記事でまとめたこと以外にも、「食事制限は?」「妊娠は?」「仕事はできる?」「運転していい?」など、たくさんの不安や葛藤、疑問が出てくるかと思います。その場合は、まずは主治医に相談することが大切です。そのうえで、必要に応じて、上でもご紹介した相談窓口なども活用してみてください。

 

【参照】
※1 てんかん対策|厚生労働省

※2 てんかんとは|公益社団法人 日本てんかん協会

※3 てんかんとは、どんな病気?|てんかんinfo

※4 もし、突然倒れたら……? 身近な病気「てんかん」|サワイ健康推進課

※5 発作の介助と観察|公益社団法人 日本てんかん協会

※6 てんかん|東京逓信病院

※7 発作がおきたら|epiサポ

※8 てんかん発作時の介助はどうしたらいい?|はしぐち脳神経クリニック

※9 てんかん発作時の対応|医療法人社団かけはし

※10 てんかんのある人の日常生活|日本橋神経クリニック

※11 てんかん|慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイト

※12 厚生科学特別研究 光感受性発作に関する臨床研究 平成10年4月|厚生労働省

※13 月経てんかんについて|てんかん情報センター

※14 てんかんを持つ人の日常生活|小緑セントラルクリニック

※15 てんかんの人がアルコールを飲んでもいいでしょうか?|てんかんinfo

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