アメリカ イリノイ州の水質改善計画でヘンプを活用
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2022年11月13日

アメリカ イリノイ州の水質改善計画でヘンプを活用

アメリカのイリノイ州ディケーター市で行われる大規模な水質改善プロジェクトにおいて、ヘンプ(麻)が重要な役割を果たしている。

ディケーター市は、州内の主要支流サンガモン川最大の湖であるディケーター湖の水質改善のために、アメリカ農務省から約980万ドルの補助金を得た。

ディケーター湖は、イリノイ州ディケーター市にある約1200haの貯水池であり、1920年に街の水源として造られた。
しかしそれ以来、湖の沈泥問題が深刻化し、コストのかかる浚渫(しゅんせつ、川底の土砂やヘドロを取り除く作業)が必要になった。

2018年、ディケーター市は4年にわたる浚渫プロジェクトを完了させ、湖の貯水量を30%増加させた(浚渫の費用は約9100万ドル)。

そして、今後の沈泥問題を予防すべく、全米麻協会(NHA)とヘンプ・イノベーションズ財団(HIF)が支援するプロジェクトでは、対象となる小流域や土地区画にヘンプを植える予定である。
高密度で栽培できるヘンプは根が深いため、土壌を安定させる効果が高い。また、雨で流されるゴミの量を減らすことができるという。

全米麻協会は「この取り組みにより、イリノイ州のヘンプ産業が加速し、環境と経済に良い効果が出るはずである」と述べています。
また、ヘンプが中西部で栽培可能な作物となり、「トウモロコシと大豆が大部分を占める現在の農業システム」に統合できる見込みである。

プロジェクト全体としては、「毎年ディケーター湖に流れ込む土砂の最大50%、硝酸性窒素の20%を削減すること」を目標としている。

高濃度の硝酸塩は、藻類の繁殖を促進し、藻類が死んで分解される際に水中の酸素が使われてしまうため、湖に流れ込む窒素を減らすことは非常に重要である。さらに「人間を含む動物に有毒な種類もある」ということも、藻を減らすべき理由の一つとして挙げられる。

イリノイ州の麻栽培協会は、ディケーター湖の水質改善計画が承認されたことを喜んでいる。
同協会のレイチェル・ベリー氏は、「このプロジェクトの助成金は、農家や環境にとっての味方であるヘンプをアピールする機会を与えてくれたとも言える」とコメントした。

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